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俳優の死と墓 - フィリピンニュース, 現地生活 最新情報発信
   
  俳優の死と墓
 

 大杉漣という日本の俳優が66歳で急死した。テレビ・ドラマの収録を千葉県の方でしていて、その夜の夕食後に急性心不全で倒れ、病院に運ばれて亡くなっているが、芸能人という特殊性ながら、これは『過労死』ではないかとも思う。



 芸能界というのは拘束時間があってないような世界で、いわゆる残業という観念もない。しかも、人気のある内にマネージメントをする方も本人も稼げるだけ稼ごうという世界だから、過労がどうのこうのという話など無縁の世界でもある。

 労働者としての立場も弱く、芸能マネージメント会社は慢性的な労働基準法違反、はてまた独禁法違反の旧態丸出しの経営とまで指摘されている。この世界も今でこそ近代的な装いをしているが、元々は興行を仕切るヤクザが一手に扱っていて、所属俳優に対して女衒的体質というのはなくならないようだ。

 今、国会では『働き方改革』などと、毎度空虚な広告コピーを繰り返す自民党の法案を巡って論議されているが、働く人間が少なくなる一方の日本においては絶望的な内容となっている。裁量労働制などと訳の分からない単語を並べるのが安倍自民党と日本の官僚の得意技だが、これなど、自分で労働時間を決められない日本の会社では、根本には安く労働者をこき使う内容でしかない。

 芸能人の多くは契約上個人事業主になるらしいが、昨日までは全く食えなかった芸人が一夜で仕事が殺到するというのは多くあるものの、本業では食えないのが大多数である。大杉漣も今では誰でも知っている名前になっているが、若い時は全く食えず、どうにかピンク映画に細々と出演して食い繋いでいた過去を持つ。

 それが、ビートたけしの映画に出てから世に出て認められるようになったが、その映画に出られなかったら、俳優を辞めて故郷に帰る気があったらしい。俳優は死しても映像でその姿を残すから、最後の出演作品を観て故人を偲ぶことにしよう。

 そこで、写真だが、これは千葉県松戸市にある『八柱霊園』の一画で、撮影日を調べたら20101223日となっている。この日は父親の命日で、母親と墓参りをした記憶がある。

 年末の寒い時期にわざわざ日本へセブから行くことはまずないから、何か他の用で日本へ行く必要があり、そのついでに命日が重なって墓参りしたのではと思う。

 八柱霊園は都営の墓地で、父親が生前用意していたが、あまり将来に計画的ではなかったと思えない父親が自分の入る墓をあらかじめ用意するとは考え難いから、これも母親の意向ではなかったと思われる。

 その墓だが、写真は様式のずらりと並んだいかにも窮屈な墓地になっているが、我が家の墓の方はこの写真を撮った右の区画にあり、3メートル四方くらいの面積があって今では贅沢な墓を持っていることになる。

 以前は我が家の墓がある地域が霊園の端になっていたが、いつの間にか写真のタイプの墓地が拡げられていて、この様子を最初に見た時は正直ゾッとした。

 この八柱霊園、1935年(昭和10年)に当時は八柱村に造られたが、その頃は墓地に相応しい鬱蒼とした平地であったと思うが、近年には武蔵野線が開通して便利になり今では墓地の周りは家に囲まれている。

 八柱霊園へ行くと入り口から10メートル四方以上ある規模の大きい墓が並び、奥へ行くに従って墓の規模は小さくなり、最後は写真の様な墓の団地の様な規模になって行く。

 これは開園当時は不便な場所で墓を造る人も少なく、墓地面積はかなり大きく得られたのだと思うが、交通の便が良くなり、都内の墓地事情が逼迫するに連れて、八柱に墓を持つ人が多くなり、区画が小さくなったようだ。

 写真の墓地、これでもあるだけでもマシなようで、日本の都市部においては墓地不足という。死んでまでそんな心配までしなければならないのかと思うが、日本のように『遺骨』に拘る国は仕方がない。

 それでも昔は土葬であったから、火葬というのは宗教的な意味もあるが、日本の様な狭い国では土葬に回せる土地もなくなり必然取られた方法のようだ。といっても、墓地不足というのは都会地だけの話で、地方の従来の墓地は無縁仏が増えているらしい。

 これは地方の過疎化に伴って墓を守ることができなくなるためらしいが、人口が減少し地方の集落が消滅すると見通されている現状では解決の仕様がない。また、『墓終い』といって、先祖代々の墓を閉鎖して、現在住んでいる都市部の新規の墓に移す例も増えているという。

 そういう墓事情もあって、従来の独立した墓石を建てた墓ではなく、専用のビルのロッカーに墓を造るとか、その手の商売も盛んになっている。また、『就活』ならぬ『終活』といって、死ぬまでの道筋を本人が計画、実行する妙な物が流行っている。

 これなど、何もかも情報過多の時代に生じた現象だと思うが、大杉漣の急死に分かるように、死んだ後は残された者が万端行えば良く、死んだ後など小賢しく当人が考える必要がないのではと思う。

 そうやって、連綿と葬式は続いているもので、亡くなった小生の両親にしても、残された身内が滞りなく済ませている。『終活』などというものは一見優しく聞こえるが、人と人との関係が分断された今の時代に出て来たもので、その先は荒涼とした精神世界を感じさせる。

 

 と偉そうに書いてはいるものの、自分の葬式代くらいは残しておきたいというのは誰しも共通の偽らぬ思いで、小生もそろそろ考えねばいけないだろうし、大杉漣の急死のように予測できないことを考えると考えても考え切れない。

 


  Homepage: http://cebushima-blg.jugem.jp/
Updated: 2018/03/04 (日)

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