2回目のワクチン接種を終えて、これで安心という訳にはいかないが帰りにどこかで食事をということになった。1回目の時は久し振りの外出でやはりどこかで食事と考えたが、やはり用心をしてドライブ・スルーでハンバーガーを買って家で食べたことを以前書いた。

今回久し振りの外食ということで、今まで行ったことのないイタリアン・レストランの店にしたが、このコロナ禍で営業しているのかと電話をしてみたら、やっているとのことでワクチン接種会場から直行する。
セブにはイタリアン・レストランが多く、そのほとんどの店は行っているが、今回は名前だけしか知らず、その場所も分かり難いオールド・セブにあり、このオールド・セブというのは勝手に小生が名付けた地域で、大樹に囲まれて昔から建つ大邸宅が多かった。
ところが、市内の一等地でもあるためにその大邸宅の敷地が次々とマンションに建て替えられ、趣の在った家が次々と消えてしまって、かつての面影は薄れつつも、まだ、大邸宅は残っていて行ったレストランがそういった邸宅を利用して営業をしていた。
店は昼時ということもあって客は多いが、本来防疫措置としてレストランは体温検査、手指の消毒、遮蔽版を設ける、定員制限などの規制はあるが、そんな物は全くなく、しかも10数人以上が葬式帰りなのか密になって大声で会食中。
後から来た客もマスクなど何のそので、唯一マスク着用しているのは我々とサービスをするウェイトレスだけで、基本的な規制もこのようなザル状態ではフィリピンでコロナが終息するのは難しいと思った。
それはさておき、前菜としてアンティパストを頼むが、生ハム、サラミの定番物にチーズ、トマト少々で、このアンティパストもレストランによって中身は大きく違い、その基本はイタリア人オーナーの出身地次第だという。
どこのイタリアン・レストランへ行っても頼むのはアグリオレで、このニンニク、唐辛子をオリーブ油で炒めた塩味だけのパスタは、その単純性から中華の炒飯と同様レストランの味と腕を推し量る一品で、今回の店はニンニクが良く効き塩加減も良かった。
さて、たまには変わったピザを選ぼうということで、メニューを覗いていたら上に青葉を乗せたピザの写真が目に入った。普通、この手の青い葉はバジルになるが、これはルッコラが乗っていて珍しいなと思って注文。
ルッコラというのはイタリアの呼び方で、今でこそセブでもスーパーなどで売っているが姿を現したのは数年前で、サラダに使う新しい葉物になるが、この手の葉物でやはり出回っているのはサンチュで、これは韓国焼肉で使われセブの韓国レストランの多さから商売になるのであろう。
こういった葉物はかつてはルソン島の山岳部にあるバギオ産で、それ故セブで手に入れるのは高価、しかも鮮度は落ちたが、セブでも500m以上の高地で栽培するようになってかなり値段も安くなり、品質も良くなった。
出て来たのが写真のピザで、直径は40センチほどあってかなり大きいが、下地は薄く上に乗せたルッコラに濃淡があるのは恐らく冷蔵庫で保管し低温で霜焼けしたようで水っぽく、ルッコラ特有の苦みと辛さは飛んでいた。
ただし味の方はハムの塩味がチーズと相まって悪くなく、わざわざ古いルッコラを上に乗せなくても充分で、多分あまりこのピザを注文する客は少ないためにこんな具合になったのであろうが、それであったら生バジルを乗せた方が良かった。
コロナ禍ではレストランに行くことはなくなり、ピザの場合時々家人に買ってきてもらって食べたことはあるが、セブ市内でレストランに入って食べたのは1年半以上ぶりになる。
セブ市内とわざわざ書いたのはセブ島北に遠出をした時に途中でレストランで食べたためで、それでもこの1年半で片手程度で、地方へ行くほどコロナ防疫の意識が薄いこともこれらレストランへ行った時に感じるが、地域で発生する感染者数と比例していることもある。
小生はピザが格別好物という訳ではないが、フィリピンの人はピザが大好きなようで、それに連れて値段もピンからキリのピザの店があり、それでも冷凍輸送の発達によりこんな田舎にと思うような所にチェーン店があったりするから、それなりに需要はあるのだろう。
ピザを小生が初めて食べたのはいつの頃であったかと想い出しているが、記憶に残っていないというよりこどもの頃はピザなどを食べさせる店などなかった様な気もするし、ピザなのかピサなのか分からない時代でもあった。
ただし、高校生の時に六本木にあるキャンティに行ったことがあり、この店が日本で最初にピザを食べさせるなどという話を聞いたことがあり、時代はまだ六本木に都電が走っていた頃である。
その頃から六本木は東京の中でも異質に進んでいて、夜になって店の中を遮蔽式シャッターで隠すのではなく、格子状のシャッターを使って灯りを点けて中を明るく見せる店が通りに並んでいてその煌びやかさには目を瞠った。
高校生で六本木界隈に出没していたのは同級生が六本木近くの神谷町に住んでいたためで、その同級生に連れられてアマンドだとか有名な店に行ったが、キャンティに関してはインテリアがチョッと違うなという印象を持ったが、食べたピザの味については記憶はない。
このキャンティー、その昔の芸能業界では知られた店で当時のスターが常連だっと聞くが、こちらがそういうものに関心が薄かったせいか隣の席にその手の人間が座っていても気が付かなかったのではないか。
キャンティーよりも記憶に残っているのは場所は六本木か青山にあったレストランで店内にヨットのドラゴン・クラスが置いてあり、ドラゴン・クラスは全長29.2フィートとかなりの大型艇でかつてはオリンピック・ヨット・レースの花形でもあった。
そういった大型ヨットが何故、レストラン内に置かれているのか分からないが、木で造られた曲線の美しさは素晴らしく、こういうヨットを持てたらなあーと思ったが、今、その店がどこにあったか調べても分からず残念。
ピザに戻るが、庭にビザ窯を作ってみようかと考えたことがあり、その原理は中米のホンジュラスで実際に庭の窯でパンを焼く方法をじっくり見ていて難しくないと思うが、肝心の耐熱煉瓦と耐熱セメントをセブで手に入れることが出来なく中断。
しかし、セブのイタリアン・レストランで石窯で焼いているを売り物にしている店もあって見にも行っているが、どうも窯の材料は全部輸入品のようで材料をどこで手に入れているかまでの話には至らなかった。
やはり、蕎麦やうどんと同じで自らの手で作るよりも、蛇の道は蛇というようにピザ作りも専門店で美味い物を食べた方が良いということなのかも知れない。

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