日本に住んでいても役所へ行くなど年に1回もあればいい方で、ましてや海外暮らしで日本の役所、即ち日本の在外公館へ行くなどほとんどなく、前回いつセブの総領事館へ行ったのかと記憶を辿ると2021年10月に行われた衆議院選挙の在外投票で行ったことを思い出した。

【写真-1 まだ空き地は多いがフィリピンは不動産バブルの真っ最中】
その年の11月22日、総領事館は今まで長年事務所を構えていたビル内から新たなビルに移転したが、場所は移転前のビルがあった同エリア内で、同エリア内と書くのはここは元ゴルフ場跡地をフィリピン有数のスペイン系財閥が開発した新たなビジネス街で『セブ・ビジネス・パーク』と名付けられている。
その新たなビルに移った総領事館へ行く必要があり過日行って来たが、写真-1はそのビルの様子で写真を撮った側はビルの裏側になり、こちら側へ回ったのは駐車場があるためで、写真からは道端に駐車しても良いように見えるが、全部アヤラの私有地なので駐車場でも道路でもどこへ停めても駐車料金30ペソを取られる。
写真-1で分るように総領事館の入ったビルの向こう側に覗いているビル群はコンドミニアムで、このエリアはショッピングモールを中心にセブの高級ビジネス街と高級住宅地の両方があり、日本人も投資用にコンドミニアムを購入しているが、ちょっと大きな地震が来たらどの建物も心許ない造りである。
旧総領事館ビルは写真-1の右の方の外れにあり、新総領事館はやはり外れにあって、方角的にいえば旧は北の外れ、新は南の外れに位置し、同ビルを左に進むとかつてのセブ日本人会の事務所のあった近くに出る。

【写真-2 以前のビルには小さなテナントが多かった】
12階建ての大きなビルではないが、セブンイレブンが店を開いている裏口から入り、入り口でチェックはされるが、新型コロナの社会全体の防疫措置が緩和されて係員の気も緩んでいてかなりお座なりで、これであったら訪問者名簿に住所、氏名などを記入するなど無用の手間である。
写真-2はビル内の案内板で自社ビルとして使っているのか1階から5階までは企業名はなく、総領事館は8階にあり、同じ階に美容整形関連会社が入っていて、入居している企業名を見ると結構知られた名が見える。

【写真-3 規模の割にはエレヴェーターの多いビルで助かる】
エレヴェーターで8階に上がり降りた左手側の壁に見えるのが写真-3で、菊の紋章の下に『在セブ日本国総領事館』と日本語で、その下に英字で『CONSULATE-GENERAL OF JAPAN』と表示されているが、日本の外務省の人間は金ピカ好みのようで趣味は良くない。。
日本の大使館以下の在外公館では何故か皇室と同じ菊の紋章を掲げているが、そういえばパスポートの表紙にも菊の紋章が金で押されていて、外務省は警察と並ぶ皇室絶対の役所なのだろうが、日本をあくまでも前に出したいのなら菊の紋章ではなく日本の国旗にするべきではないか。

【写真-4 この不安感を覚える廊下の壁に日本のアニメでも飾ったらどうか】
写真-3から右手の廊下を進むが、写真-4で分るように廊下はかなり長くしかもカーブを描いているし、右側の壁など人を拒んでいるような圧迫感もあり、このように廊下がカーブを描いているのは建物自体が正面にある道路のカーブなりに敷地一杯に設計、施工されているためである。
フィリピンにも建築法規はあるだろうが、建蔽率や容積率などの話は聞かず、超高層ビルでも普通の住宅でも敷地一杯に建てるためにどこも密集状態を生み、せめて高層ビルなどは高さに応じて一定の敷地を公共の物として提供した方が良いと思うが、我欲の突っ張った不動産業者には無理な話のようだ。

【写真-5 時節柄そうなるが暇を絵に描いた様な場所であった】
その長いカーブした廊下の先で写真-5の出入口用のドアにぶつかり、そこから先は一般人の訪問者が入れるエリアで、ドアを入った左手側にセキュリティー用の荷物検査機とセキュリティーが座っていて、訪問者名簿に記入してエリア内に入る、
午前中に行ったが、現在、総領事館では新型コロナ禍で日本へ行く各種ヴィザなど発給することはほとんどないだろうから、その手ヴィザを代行する代理店の業者などの姿も見えなく、時々見かける日比結婚組の日本の老人と若いフィリピーナという訪問者もなく、暇を絵に描いた様な印象を受けた。
写真-5のドアから先は写真撮影禁止なので、以降は記憶した範囲で綴ることになるが、一般用エリアは以前の3倍くらい広くなった感じはするが、元々人で混雑するような場所ではないから充分で、以前の在外投票時には狭苦しいスペースで行っていたから今後は余裕を持ったスペースで可能になる。
もっとも在外投票と偉そうに書いているが、該当する有権者数は数千人にも及ぶのにセブ総領事館管轄で在外投票権を申請し保持しているのは前回衆議院選挙時でたった『16人』で、その無関心さにも呆れ、日本の外務省も在外投票制度などお荷物と思っているようだし、その後少しは増えたのであろうか。
左側に窓口が並んでいて、以前は三ヶ所あり、ここでは一ヶ所増えていたが、その窓口の構造が完全密閉式で係員と会話するのに壁にプラ下がった電話でやり取りするようになっていて、アメリカの映画の一シーンで見る刑務所の面会と同じやり方で面食らうし何もそこまでしなくてもと感じは悪い。
以前もインターフォーンでやり取りしていて肉声で面と向かっての会話は出来ないが、ドラマなどで面会室の造りは正面に会話が届くようにいくつものスリットがあって、この厳重な密閉ぶりは新型コロナ感染を防ぐための理由かとも思うが、以前もガラスで密閉されていたから日本の外務省かセブ総領事館の意向なのであろう。
書類も前回同様密閉されたガラス下部の隙間から差し入れる形になっていて、こうなると何を怖れてこのような方式を取らねばいけないのか疑問になって来て、いくら治外法権の在外公館といえども余りにも訪問者を敵視しているのではないかとさえ感じた。
その治外法権エリアを守るセキュリティーの様子を見ると、来訪者は廊下を歩いている段階で写真に撮られてテレビ画面に表示され、そちらの面では設備は万端でも、肝心のセキュリティーはスマホ作業に夢中で全く用に立っていない。
仮にセキュリティーを真剣に考えるなら長い廊下の途中に人を置いてチェックをするべきで、写真-5のドアの内側には不審者を入れないというのが警備のイロハなのではないか。
さて、このビルはカーブして建てられていると書いたが、写真-4の長い廊下の左側は総領事館が占めているいるような感じで、即ちこのビルの長さの半分。かなり広大な面積を占めていることになり、左側壁の所々にあるドアは館員用のドアになるのだろうか。
総領事館に昇格する前のセブの常駐領事は3人くらいと聞いていて、それが総領事館になると領事定員は7人になるらしいが、実際それだけの領事がセブに常駐しているのかどうか分からないが、それ程仕事はないだろうしそれだけ領事が居るのなら在外投票権の啓蒙活動に勤しんで欲しいものだ。

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