 相次ぐ物価の値上がりで労働者の懐が厳しくなっている現在、5月1日のメーディー集会には左派系労組を中心に4,000人近くの参加者を集めた。
今年のスローガンは『全国一律125ペソ』の最低賃金となり参加者はデモ行進を通じて気勢を挙げた。
一方、国内最大の『労働組合会議=TUCP』は75ペソを要求している。
フィリピンの最低賃金制度は首都圏を1日の最高額にし、南北に離れるに従って安く設定されていてマニラ首都圏では昨年7月に1日当たり22ペソが引き上げられ404ペソ(約800円)となっている。
これらの要求に対して政府側は財界の意を汲んで賃上げを容易に認めない情勢にある。
フィリピンの最低賃金の実態は、例えばメイドや低年齢者などにはそれ以下で働かせていて、最低賃金設定は目標事項に過ぎない側面が強い。
また、最低賃金よりも雇用の確保が重要とする意見も強く、実質失業率が数十%に及ぶ慢性的失業国家から抜け出すことも重要な課題となっている。
特に賃上げによって中国などの近隣諸国との労働集約型産業の地盤沈下も引き起こし、国際競争力との兼ね合いも難しい状況となっている。
また、最低賃金の引き上げは年1回に限るという法制上の制約もあって、最低賃金引き上げは7月以降に『審議』という言い訳で伸ばされる可能性が高い。
肝心のアキノ大統領は最低賃金引き上げに対して、財界、労働者側へ八方美人の様相を見せ、指導力不足が指摘されている。
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