 2004年の大統領選で集計用紙がすり替えられた疑惑が発覚した。
この問題は以前から指摘されていたが、今回はそのすり替え工作を指揮した国家警察の警視が、証拠の集計用紙と共に暴露実行した警官たちと共に姿を現したから信憑性は高いと見られる。
2004年の大統領選はアロヨと対立候補のフェルナンド・ポー・ジュニア(FPJ)が接戦を繰り広げ、アロヨ1,290万票、FPJが1,178万票の112万票差でアロヨが勝利したとなっているが、開票中に不正が行われ実際はFPJが勝利していたとの話が流れた。
選挙結果に対してFPJ側は裁判で再集計を訴えていたが、選挙のあった年の12月に死亡。その後未亡人が裁判を引き継いだが最高裁で門前払いになった経緯がある。
現アキノ政権はアロヨ時代の汚職一掃を狙っていて、この大統領選疑惑がここに来て暴露されたのは政権側の台本によるものだが、今回の追及はかなり真実に迫っていて、アロヨの不正が追いつめられる可能性が高くなった。
この不正工作は議事堂に保管してあった集計用紙を4回に渡って盗み出し120万人分を変えたとあって下手な映画の台本のような有様だが、この黒幕はアロヨの夫であると名指しされている。
この人物は弁護士、法の盲点を抜け出る才能に恵まれ、とかくの黒い噂が絶えない人物で夫妻ともども関わった巨額プロジェクトの汚職疑惑は次々と明るみになりつつある。
この他、大統領選と同時に行われた上院議員選でも野党陣営の候補者得票がゼロという不自然な選挙区もあって、長年そのおかしさは分かっていても何も手を付けずに放置されていた。
これも当時の自治体関係者や選挙事務管理者が次々と新証言を行い、アロヨ陣営の選挙不正が暴露されている。しかし、一連の不正暴露でアロヨが黒となっても任期は既に終了、遡って取り消すことなど出来ないため、出てくる結果に対して冷めた見方を持つ者も多い。
写真は最近アメリカを訪ねて帰ってきたアロヨ夫妻だが、アメリカ亡命を考えているのではないかなどの観測が流れている。汚職で亡命ではアメリカが受け入れるかどうかだが、マルコスを受け入れた前例があるから必ずしも荒唐無稽な観測ではない。
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