日本の法務省によると、2013年1月1日現在のフィリピン人不法滞在者数は5722人で、国別では韓国人の15607人、中国人の7730人に次いで3番目の国となっている。
入管当局の摘発によって、200人近くのフィリピン人不法滞在者が拘束、収監されているが、7月6日、日本の羽田からチャーター機によって75人(内訳は男性54人、女性13人、子ども8人)がフィリピンへ強制送還された。
通常の強制送還は個々に民間の運航する定期便に乗せて相手国に引き渡すが、チャーター機で多勢の強制送還者を運んだことは異例の出来事で、国内外で論議を呼んでいる。
強制送還の帰国費用は不法滞在者の自費負担が原則だが、今回の措置は『国外退去命令に同意しなかった者』を対象とし、チャーター機代、日本の入管関係者、医師、在日フィリピン大使館員などが同乗する結果となり、丸々国費を投入する結果となったが、要した費用などは発表されていない。
なお、日本に家族が居る者、重病者、滞在を巡って裁判で係争中などの者は今回の強制送還からは対象外になっているが、残る不法滞在者を強制送還するかどうか、日本政府の態度は未定。
チャーター機内の様子では在日フィリピン大使館側の要請により手錠をかけなかったとされているが、送還された人物の証言によると『機内で男性はフィリピンの島が見えるまでトイレ、食事の時も手錠をかけられていた』とあり、事実なら入管当局の人権無視が濃厚となるが日本側関係者はコメントを避けている。
マニラ国際空港に到着後の強制送還者は、出迎えたフィリピンの社会福祉省の係官から1人2500ペソ(約5100円)を支給されて、フィリピン側関係当局の事情聴取もなくそのまま開放。
送還者の中には合法的にフィリピン人妻子を日本に住まわせている者や四半世紀も日本で不法滞在を続けた者もいて、帰国しても途方に暮れる者が続出し、日本政府が進めるフィリピン人看護師と介護士対象の都合の良い受け入れ事業と乖離する今回の措置には批判と非難が強い。
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