こういった会議も時には必要だが、金と時間をかけてマニラなどに集まる必要などあるのかという会議が、マニラ首都圏のホテルにて2日間に渡って開催されている。
集まったのは日本を含む世界33か国・地域の赤十字社関係者で、核になったのはフィリピン赤十字社。
このフィリピン赤十字社の総裁は元上院議員が上院選に落選後に就任したもので、赤十字の威光と組織力を使って復活を狙った上院選で落選。アキノが当選した2010年大統領選にも出たが惨敗。それでも次回2016年上院選に向けて立候補予定という人物。
ここでパフォーマンスをというのが政界雀の見方だが、被災地にとってみれば、小田原評定や言葉ではなく実行してくれというのが正直な意見。
フィリピン政府は2017年までの4年間に被災地支援のため、国家予算の15%に相当する総額3610億ペソ(約8320億円)の予算を決めているが、こちらも本当に実行できるのかと早くも懸念の声が出ている。
今回の会議では赤十字全体の2015年10月末までの復興計画予算は137億ペソ(約316億円)と見積もられ、その内最大は『住宅再建事業』の57%で、次に多い『生計支援』の18%とで予算全体の4分の3を占めた。
この他『防災』が14%、『教育』6%、『保健・医療』が5%と続く。赤十字の本来の使命である保健・医療分野の予算が全体の中で最低の予算というのは奇妙な感じを受けるが、被災地の要望に添った予算見積もりと責任者は説明している。
予算で多くを占める『住宅再建事業』では、フィリピン政府が被災地で進める沿岸部の一部地域を『居住禁止区域』に指定する事業の遅れもあって、思うように進められない状態に陥っているが、赤十字側は仮設住宅建設に力を入れることを表明。
この仮設住宅だが現在までに被災地で完成した政府の仮設住宅は227棟で、23棟が2月中に完成して計250棟(1棟12世帯)のみという、数十万人が家を失っている状況の中で焼け石に水にもならない貧弱さで、どこまで赤十字が住宅分野で被災者の要望に応えられるかは未知数。
この他に被災地の農業、漁業従事者への支援も討議されているが、当たり前過ぎて何を話し合っているのかと他のNGOからの批判も強い。
この会議に出席した日本赤十字社の関係者は『大規模被災地ばかりに注目しないで、周辺の手が入っていない地域の支援を強化すべき』と至極真っ当な意見を述べて、セブ島北部に遅れて入った医療活動を自画自賛する始末。
国連が加盟各国に呼びかけた復興支援拠出金も総額の半分にも満たない集まり具合で、『次に大きな災害が世界のどこかで起きれば台風ヨランダのことなど世界から忘れられてしまう』と被災民は進まぬ復興に対して不安を述べている。
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