 昨年11月に襲来した台風ヨランダにより未曾有の大被害を受けた被災地は、半年が経過するも一向に進んでいないことが国連人道問題調整事務所(OCHA)の調査で指摘された。
同様にフィリピン赤十字社も復旧、復興に関して『継続的な支援が必要』と呼びかけていて、今現在、200万人以上の被災民が粗末な掘立小屋や、被害を受けた半壊状態の家屋に住み、これから雨季に入るのを考えると住宅再建が急務とされている。
現在までに被災地では約12万世帯の家屋修理が終わっているが、残る約37万世帯は放置状態、支援から取り残されている状況という。
また、避難所についてもサマール島東サマール州、サマール両州の沿岸部にある10町では、被災前に避難所として指定された634か所中、わずか53か所のみ使用可能で、残る大部分は大規模な修復工事が必要とされている。
こういった遅れの要因に、フィリピン政府が決めた『居住禁止区域』指定があり、これは海岸部から40m以内は一律に居住を禁止し、安全な地域に住民を移転させる考えだが、理想ばかりで実態とはかけ離れ過ぎている指摘が出ている。
元々、高潮などで被害の大きかった沿岸部住民にはスクオッター(不法占拠民)が多く、禁止令に従わずに住み続けるケースとなり、移転対象は21万棟に上るが、現在までに約12%にあたる、2万6千棟しか完成していない。
こういった復旧、復興には巨額の資金が必要で、フィリピン政府は2017年までの4か年で国家予算の15%になる3610億ペソを投入することを決定しているが、汚職天国のフィリピンで果たして有効にこの巨額な金が、被災地に問題なく流れるのかどうか疑問視されている。
なお、国連もこういった事例を分析するだけではなく、加盟各国への台風被災地支援の拠金を呼びかけているが、5月初旬現在、目標額7億8800万ドルに対して、約56%に当たる4億4100万ドルしか集まらず、時間と共に被災地のことが忘れられていくのではないかと被災民は、次の台風襲来を心配するような境遇に置かれている。
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