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フィリピンは世論調査の好きな国で、目下の関心ごとは2016年5月に行われる正副大統領選を含めた『統一選挙』。
統一と名付けられているように、上下院議員、地方自治体首長、自治体議員、小さいのでは行政組織のバランガイ長、議員選出と改選の年は選挙一色、当然、巨額な金が表に裏に流れ、改選の年は選挙特需でGDPがかなり押し上がる現象も引き起こす。
3月上旬に民間調査機関が行った、次期大統領選に立候補が予定される候補者の支持率調査がこのほど発表された。
これによると現副大統領のビナイが29%のポイントを得て首位を堅持。
ビナイは自身の汚職疑惑が払拭されず、また首都圏マカティ市長職を息子に譲ってビナイ王国を誇るも、最近この息子に公務員の汚職を扱う裁判所から職務停止命令が出て、息子は市庁舎に籠城するなど姿勢そっちのけの事態を引き起こしたりして、一時は支持率を落としたもののトップの座は緩んでいない。
2位には前回調査に続いて、2004年に現職のアロヨに惜敗した有名俳優の娘というだけしか取り柄のない、ポー上院議員が14%で付けるが、前回より4ポイント減。
3位には政治業に旨味があるのか汚職で追放、逮捕有罪になっても懲りない元大統領のエストラダ現マニラ市長。
エストラダは元2枚目俳優で、その頃の役柄と実在の人物を混同する蒙昧な選挙民によって人気は高く、高齢にも関わらず次期大統領選の台風の目になるのではと見られている。
また前回まで名前の挙がっていなかったミンダナオ島ダバオ市に君臨するドゥテルテ市長で、エストラダと同率の12%だった。
ドゥテルテは娘に市長の座をつなぎでやらせるなど、市政を私物化している典型的なフィリピンの政治屋で、ダバオで頻発する犯罪者殺しをしている私刑集団と関係があるのではないかととかくの噂を持つ人物だが、マッチョ好きのフィリピン人には好まれるタイプ(その後、出馬はしないと述べている)。
5位以下は9%の何かと一言多いが一定の層に人気はあるサンチャゴ上院議員、独裁者マルコスの息子の現上院議員が6%と続く。
アキノ大統領の盟友、後継と目されている、現内務自治長官のロハスは、財閥の御曹司、エリート臭さが災いしてか支持率は伸びず、今回は調査が始まって以来最低の4%で、巻き返しは難しい状態。
一方、同時に調査された副大統領支持率では29%でポー上院議員がトップ。
2位は16%のエスクデロ上院議員、13%のカエタノ上院議員、大統領での支持率が急上昇したダバオ市長のドゥテルテ、マルコス上院議員と続いた。
こういった世論調査の流れを受けて、党派の離合集散の激しいフィリピン政界なので、今後正副大統領候補者の組み合わせになどによって、情勢が大きく変化する可能性もあり目が離せない。
【写真は歴代のフィリピン大統領が住むマラカニアン宮殿】
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