5月9日に行われた正副大統領選以下の結果、大勢が判明し、公式発表と当選確定作業はまだ先になるが大統領はダヴァオ市長のドゥテルテ、副大統領は与党が推した下院議員のロブレドの当選が確実となった。

ドゥテルテは事前の世論調査で首位に躍り出てからはブームを維持してそのまま選挙結果に反映し、次点の与党が推すロハス前内務自治長官に現時点で600万票以上の地滑り的な大差を付けた。
ドゥテルテは政策や閣僚人事を次々と発表しているが、ラモス政権やアロヨ政権に連なる既成政界人や地盤のミンダナオ島に関係の深い財界人の起用が取り沙汰されていて、変革を標榜した割りには新味のない政権運用になるとの指摘が出ている。
一方、副大統領選に関しては次点となったマルコスがロブレドの得票1400万票に対して21万票しか差がない事から開票に『不正』があったと騒いでいる。
マルコスは開票当初はトップに立ち一時はこのまま当選との報道もあり、当人もその気になっていたが、一夜明けたらロブレドに逆転され、そのまま順位が逆転することはない状態が続いている。
マルコスが当初リードしていたのは開票作業の速い投票数の少ない地方であり、マルコスの地盤であるルソン島北端の北イロコス州ではマルコス24万票に対して、ロブレドが3千6百票と極端な結果が出ている。
同様に南イロコス州でもマルコス31万票にロブレド1万3千票で、これら投票数が少なく開票の速い地域が先に発表された結果、当初はマルコスがリード状態になったと選挙の専門家は見ている。
この地盤による地域的偏重は選挙に付きもので、ロブレドの地盤であるルソン島南部南カマリネス州ではロブレド66万票に対してマルコス4万1千票、隣の北カマリネス州ではロブレド13万票に対してマルコス1万3千票という偏りで、しかも南部ルソン島は今回4位に沈んだエスクデロの地盤で、この地域ではロブレドに次いで得票しているのはマルコスではなくエスクデロであった。
なお、セブではロブレド80万票、マルコスは3位の30万票であった。
こういった実情に目をつぶって、マルコス側は開票の際に選挙システムを請け負った企業の人間が投票直後にプログラミングを操作したと糾弾し、今後お定まりの法廷闘争に持ち込む動きを見せているが見苦しいとの冷めた見方が強い。
【写真はマルコス一族牙城の北イロコス州庁舎。今回の選挙では姉のアイミ―が州知事、母のイメルダが下院議員に無投票当選】

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