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被害者は昨年10月18日にルソン島中部パンパンガ州アンヘレス市で現職警官を含むグループに誘拐、拉致された53歳になる韓国の大手船会社の元役員で、フィリピン人家政婦も同時に拉致されていた。
家政婦は解放されたが、犯行グループは身代金500万ペソ(約1200万円)を要求。身代金は払われたが犯人グループは被害者を解放せず更に400万ペソを要求し、このため被害者の妻が警察に届けた。
しかし、警察内部の人間が関わっているために当局は事件化をせず、この経緯をフィリピンの大手英字紙が逐一報じたために事件が公になり、当局は隠蔽できず尻を叩かれた状態になって捜査が進んだ。
調べによると拉致された韓国人は首都圏ケソン市にある国家警察本部に連行され、事件に関わった現職警官の手によって絞殺された。
その後、遺体処理を元警察官が経営する葬儀場で荼毘に附し、証拠隠滅のためにその遺灰を同葬儀場のトイレに流して処理。
この元警察官の経営者は既にカナダへ逃亡していて、この人物は遺体処理の見返りに被害者の所持していたゴルフ・セットを犯行グループから受け取っていた。
国家警察本部内で外国人を現職警官が絞殺する事態に、ドゥテルテ大統領の忠実な子分の元ダヴァオ警察署長から抜擢されたデラ・ロサ国家警察長官は事態を重く見て19日に記者会見を開き謝罪の意を示したが、通常ならトップの首が飛んでもおかしくないのに、自身の進退については言及を避けた。
このため、事件はフィリピンと韓国の外交問題にも発展し、フィリピン政府は韓国政府に謝罪し、早期の全面解決を約束させられた。
また、韓国では在韓国フィリピン大使館員が韓国外務省に呼び出されて事件の説明と哀悼の意を表明する騒ぎになっている。
この事件ではフィリピン検察当局が事件に関与したとして現職警官2人を含む複数を拉致、殺人の罪状で起訴する方針を固めているが、逮捕までには至っていない。
フィリピンの警察組織は犯罪を取り締まるのではなく犯罪を起こす、関与する悪質な組織と従来言われ、大統領のパフォーマンスによる違法薬物関与者殺害も、既に6000人以上に上がっていて、今回の事件でその体質は少しも変わっていないことが証明された。
また、フィリピンには永住している韓国人がⅠ0万人以上に上り、訪れる韓国人観光客も近年は1位となっていて、2016年1月から10月までに国別では最多の120万人となり、2位のアメリカ人の70万人を大きく離している。
このような激増ぶりが、フィリピンを韓国の植民地、あるいはフィリピン人を見下す韓国人も多くなり、こういった要素がフィリピンにおける韓国人絡みの犯罪が増える要因ともなっている。
【写真は事件のあった国家警察本部ビル】
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