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1986年2月の『エドサ政変』でフィリピンを追い出されたマルコス元大統領一族の娘『アイミ―・マルコス』が2019年に行われる上院議員選に立候補する考えを示している。

アイミ―はマルコスの長女で現在62歳、マルコス一族の地元、ルソン島最北西端の北イロコス州知事を2010年に当選、以来3期連続当選。
公職の連続4期は禁止されているために2019年選挙には、以前と同じ手口で州選出の下院議員に横滑りすることが考えられていた。
しかし、88歳になる母親のイメルダが同地盤で現在2期目を占め、3期目を目指していると見られ、その代わりに24人定員で、3年ごとに半数が改選される上院議員選に出馬する方向を示唆している。
現在、アイミ―の弟『ボンボン・マルコス』は2016年に行われた副大統領選に立候補し、アキノ与党が推した『レニ・ロブレド』に破れ、次点となったが、この結果を認めず票の再点検を求めて法廷闘争中。
副大統領選の開票では、マルコスの地元ではボンボンが数十万票を集め、ロブレドは数千票という桁違いの票差であったために、当選確実と思っていた陣営は、全国の開票が進むに連れて逆転されたことを受け入れなかった。
ロブレドが僅差で勝利したこの結果に『不正』があったとマルコス陣営は莫大な国から掠め取った資金を注ぎ込んで追及しているが、盛り上がっているのは一族と取り巻き陣営だけで、国民は『1986年大統領選で不正選挙をやったのはお前たちの父親ではないか』と白けている。
ボンボンは当時上院議員であったが、再選を目指さず、副大統領の道を選んだが、落選。
そのため、次回上院選には再立候補すると見られていたが、アイミ―の出馬示唆で状況は変わりそうだが、24人しかいない上院議員の中には兄弟、姉妹で上院議員になっているのもあり、同家族で公職を占めることはフィリピンでは普通のことである。
ただし、上院の場合、全国選挙のため、3年毎の選挙にそれぞれ身内が立候補する棲み分けをしていて、票割れを防せぎ、同名家族が同時に立候補し、同時当選というのは難しいのではとも見られている。
しかし、フィリピンの投票様式は1議席1名を選出するのではなく、12議席全員を選べるおかしな方法を取っていて、同名家族がダブルでも知名度によっては、人気投票と変わらない現状からは同時当選可能と見る向きもある。
マルコス一族の応援団に、2016年大統領選で当選したドゥテルテは選挙資金をマルコス家から出ているともいわれ、マルコス独裁時代に検事に任官した経歴もあってマルコスに恩義があり『副大統領はボンボンが良かった』と公言している。
また、歴代政権が認めなかった英雄墓地へのマルコスの遺体埋葬を当選してすぐに認めた経緯もあり、独裁者マルコス一族は完全に復活したと識者は指摘している。
【写真はマルコス一族の牙城 州都ラオアグにある北イロコス州庁舎】
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