CNNが伝えることによると、ロシアを訪問したドゥテルテ大統領は、10月5日首都モスクワで在留フィリピン人向けの会合において演説を行い、自身が『重症筋無力症』に罹患していることを公にした。
同病は日本の厚労省が特定疾患に指定されている神経筋系の難病の一つであり、同大統領の健康不安説は現実のものとなった。
重症筋無力症は骨格筋の筋力低下を引き起こすために、瞼が十分に開かない、眼のかすみ、物を飲み込む時や発声、呼吸が上手くできなくなるなどの症状が現れる。
治療法は見つかっていないが、いくつかの対症療法は確立され、罹患者の生活の質を維持できるようになっていて、余命も健常者と変わらないとされている。
また、同大統領は自身の健康状態を公表し、過去に痛み止めのために麻薬性鎮静剤の服用を認め、大統領当選翌年の2017年から、睡眠時に酸素供給装置を使用し、2019年には睡眠薬の服用をしていることを告白した。
同大統領の健康不安説は以前から流れ、昨年行われた民間の世論調査によると第3四半期では成人の55%が健康問題に不安を感じていると回答し、第4四半期では66%と不安感が増している。
そういった中、大統領支持率調査が行われ、最新の9月結果は78%と高い支持率を示すが、前回6月の同調査と比べて7ポイントも下落した。
今回の難病告白によって今後の支持率は落ちると見られ、状況によっては2022年の任期終了以前に辞任ということも考えられる。
その場合、副大統領である野党所属のロブレドが大統領職を引き継ぐことになるが、ドゥテルテのロブレド嫌いは徹底していて、自身の辞任によるロブレドへの移譲はあり得ないとの見方が強い。
それよりも、難病にかかったドゥテルテが功を焦るゆえの捨て鉢になって、ミンダナオ島内の戒厳令を始めとしてあらゆる政策の強行を計るのではないかとの穿った見方も流れている。
同大統領は現在74歳だが、フィリピンの平均寿命が日本のほぼ半分の23歳という若い状況の中ではかなりの高齢者であることは間違いない。
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