2022年5月に任期の切れるドゥテルテ大統領は、同年5月の正副大統領選を含む3年に1度の全国選挙の副大統領選に出馬表明をし、それが憲法違反の可能性が高いと指摘されると次に12人が改選される上院議員選に出ると立候補を届けた。

【写真は同じく権力の蜜の味が忘れられない日本の元首相と】
ところが12月14日になってドゥテルテは『残りの任期の課題に集中する』という理由で上院選立候補取り下げた。
副大統領、上院議員への色気は在任中の違法薬物容疑者殺害政策が国際刑事裁判所から大統領退任後に訴追を受ける可能性があり、自己保身によるものだが、相次ぐ朝令暮改の動きに満天下に老醜を晒したのは間違いない。
副大統領選では一時は副大統領選に出馬しているダヴァオ市長の長女と一騎打ちになると見られていたが、身内同士で争うことは避けられ、一説には長女への話題作りではなかったとの見方もある。
また上院議員選取り止めは、12人という狭い枠の中で当選確実なドゥテルテが抜けたことで当落線上にいた候補者が浮き上がることでこれら候補者の中では諸手を挙げて歓迎されている。
ドゥテルテの度重なる『変心』行為は本人の性格もあるが、正副大統領選で組んでいる独裁者マルコスの長男と自身の長女が有利な戦いを続けていることと関係があり、ドゥテルテは政界から身を引いても自身の安全は確保されると見ているようだ。
これで、ドゥテルテは政界から身を引くと見るのは誰も信じていなくて、『権力の蜜の味』は『スズメ百まで』の例え通り、76歳と高齢ながら中央政治に対して『院政』を引くことは間違いなく、最低でもドゥテルテ一族が長年牛耳るダヴァオ市長へ復帰するのではないかとの見方も強い。
こうなると投票する選挙民の在り方も問題だが、フィリピン中、新型コロナ以上に蔓延しているために誰も疑問を持つ人は少なく、買収、金権選挙が大っぴらに行われているのがフィリピンの現実である。
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