5月に行われたセブ州知事選で80%の得票率で再選を決めた、ガルシア知事が6月8日に出した『知事令第16号』を巡って、知事と全国自治体を管理する中央の『内務自治省』との間で火花が散っている。【写真は知事が入るセブ州庁舎】

知事令第16号は『屋外や換気された場所でのマスク着用の義務は任意にする』という内容で、これに対して内務自治省は『セブ州知事が出した知事令は大統領令に違反し、違反者は警察によって検挙される』と警告を発した。
これに対してガルシア知事は『セブ州内で警察がマスク不着用で身柄を拘束したら不法逮捕に当たる』と反発している。
内務自治省が根拠にしている大統領令は昨年11月に発した『大統領令第151号』であり、これは新型コロナに対する防疫警戒レベルなどを改定したもので、マスク着用はいかなる場所でも着用義務となり、違反者は拘束され罰金、裁判で有罪になれば刑務所行きとなっている。
そのために、警察に摘発されるのを避けるためにマスク姿は当たり前の光景になっていて、セブ州知事が出した今回のマスク任意について戸惑う州民が多い。
また内務自治省は、セブ州知事の知事令は公務員が中央が公布済みの法令や規則に違反することを禁じる『共和国法第3019号(汚職防止法)』に違反し、知事職務の停職、解任の可能性まで言及している。
内務自治省の見解に加えて、法務省は『地方自治体の権限は憲法第10条4項によって大統領の管理下に置かれるとあり知事令は違反』と、中央は地方の自治体が独自の判断で動くことを牽制している。
この州知事の動きに対して国家警察セブ州本部長は『知事令を支持し取り締まらない』と立場を表明していたが、12日に解任されてしまう動きもあった。
州知事の動きと連動してセブ州議会は6月14日に知事令と同じ内容の条例を制定したが、同条例審議は州議会多数派を占めるガルシア派議員が中心になって30分で可決し、その拙速性も問題になっていて、条例は可決後に一般新聞に公示して掲載日から15日後に条例は発効する。
こういったドタバタで一番迷惑しているのは州民で、選挙が終わったのにどうでも良いつまらないパフォーマンスをやるなと不評である。
|