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世論調査がポー【写真】の野心に火を付けたといっても良い今回の出馬表明だが、9月16日、全国放送の夜のニュース時間帯を狙って、出身校である国立フィリピン大学構内でポー上院議員(47歳)は2016年大統領選に出馬することを正式表明した。
ポーは養父である著名な俳優の『フェルナンド・ポー・ジュニア』が2004年の大統領選にアロヨの対抗馬として出馬、この時は得票率3%ほどの小差でアロヨが勝利したが、ポー陣営は選挙に不正があったと抗議行動を開始。
そのさなかポー・ジュニアは急死し、アメリカの市民権を得てアメリカに住んでいたポーは急遽帰国した。
その後、アキノ政権が発足した時は『大統領府映像審査会』委員長を2年間経験し、亡父の名声を継ぐ形で2013年の前回上院選に初出馬して、トップ当選を果たしている。
大統領選の事前世論調査では現職副大統領という立場を利用して、次期大統領選出馬を早々と決めて、遊説に勤しむ元マカティ市長のビナイが1位を独走していた。
しかし相次ぐ市長時代の汚職疑惑暴露と、一族による上下院議員、市長職を占めるなど『王朝』とまで言われる成り上がりぶりが批判の対象となって、勢いを失い最近の世論調査ではポーがトップに立ち、その傾向は変わっていない。
こういった中、アキノ大統領は盟友とするロハス前内務自治長官を次期大統領選の後継者として指名。
しかし、ロハスは財閥の御曹司、元大統領の孫という毛並みの良さが、逆に国民には不人気となって世論調査では3~4位に低迷していた。
そのため、アキノ陣営はポーを副大統領候補としてロハスとペアを組ませようと画策したが、ペアは成らず今回の出馬表明となった。
この結果、ポー、ビナイ、ロハスの三つ巴の戦いが行われる見通しだが、ポーはアキノの進める政策をそのまま継承する事を明らかにしていて、やはりアキノの政策を継承することによって人気を底上げしたいロハス側には大きな打撃となった。
一方、副大統領選に関してポー陣営はエスクデロ上院議員を擁立する予定で、エスクデロはロハスと犬猿の仲と言われ、前回副大統領選でロハスが僅差でビナイに敗れたのは、ロハス嫌いのエスクデロが選挙終盤にビナイを支持したためとまで言われている。
エスクデロは45歳、策士の評があり、今回のポーの大統領選出馬もこの人物の影響が強かったのでは見られ、エスクデロは副大統領の次は2022年の大統領を狙っていて、筋書き通りの展開となっている。
これに対してロハス陣営は副大統領候補として、大女優でバタンガス州知事を務め、夫は上院議員というビルマ・サントス、あるいは夫が現職の内務自治長官時代に飛行機事故で死亡し、その後急遽地元の下院選に出馬、当選した妻や上院議員の名前は挙がっているが未定。
また、ビナイ陣営も副大統領候補として誰と組むかは未定で、ポーの出馬により勝ち目の薄くなった陣営の副大統領候補要請に意中の人間がしり込みするのではないかと見られている。
なお、正副大統領選の選挙開始は10月中旬から始まり、投票日は5月中旬になっていて、非常に長い選挙運動期間となっている。
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