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5月の正副大統領選において、副大統領に当選したロブレドはドゥテルテ政権から閣僚の一員としてHousing and Urban Development
Coordinating Council (HUDCC)を任命されていたが、12月4日、『HUDCC』のポストを辞任する声明を発表した。【写真左ロブレド、右ドゥテルテ】

声明ではドゥテルテ側から週明けからの閣議に出席しないように求められ、これは実質的な罷免と同じとドゥテルテ側を糾弾している。
フィリピンの正副大統領選はアメリカの正副大統領選と違って、正副それぞれを直接投票によって選ぶために大統領と副大統領の支持政党や母体が反対になる『捻じれ現象』が起き易い。
アキノ政権の時は野党側が当選し、今回の選挙でも同じで野党側のロブレドが当選している。
フィリピンの副大統領の地位はあくまでも大統領が職務を続けられなくなった時の後継者で、その点はアメリカと同じようになっている。
しかしながら任期中に政策に関与できる実際の力を持っているわけではなく、そのため野党側の副大統領の場合、大統領側としては煙たい存在でありながら、取り込みを図るために閣僚の椅子を与えることが多い。
ドゥテルテはフィリピン人特有の『マッチョ主義者』で女性蔑視感が強く、副大統領に女性が選ばれた事に対して嫌悪感を抱いていると見られている。
またロブレドと副大統領の地位を巡って激烈な選挙戦を戦った独裁者マルコスの凡庸な息子を副大統領として迎えたかった意向が強く、独裁者マルコスの国立英雄墓地への遺体埋葬を強行し、選挙戦で当選したロブレドと次点のマルコスの票差が26万票の小差であったこともあって、選挙結果を蒸し返して最終的にはロブレドの副大統領職追い落としを画策しているとの見方も強い。
ドゥテルテは自分に反対する人物に対してあらゆる手を使って追い落としを計り、上院議員の反ドゥテルテの急先鋒、デ・リマを麻薬組織から選挙資金をもらったとして遡上に挙げて失脚を遂行している。
今回のロブレド以外にも、閣議出席停止を命じられたのはCommission on Higher Education委員長もあり、同委員長は前政権のアキノが任命していて、ドゥテルテ政権は前政権の要職人物を着々と追放し、思うがままの体制を強化し、強い大統領の美名の基に独裁体制に突き進んでいる。
こういった手法は次期アメリカ大統領のトランプの人事構想と符合していて、強大な大統領制の権限見直しも必要ではないかとの指摘もある。
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