世論調査の結果が世論を形成して行く傾向の強いフィリピンで、『大統領への信任率』調査が行われ、その結果が7月13日に発表された。

この調査は歴代大統領に対しても行われエドサ政変後に登場した故コラソン・アキノ元大統領以降で、最も高い信任率を得たのは6月末を持って任期満了、退任したアキノ前大統領で88%を得た。
しかし、最初の期待は高かったものの6年間の任期中にほとんどの公約を実現できず、信任率は急下降したままで任期を終えた。
今回の信任率調査は民間調査機関のSWSが行い、ドゥテルテ新大統領が就任してから初めての調査で、調査は大統領就任前の6月24日から27日にかけて行われ、調査対象は全国の成人1200人となっている。
今回の調査によるとドゥテルテは84%の高率を得て、アキノ前大統領に次ぐ信任率を獲得。
中でも18歳から24歳の青年層では90%を得る結果が出て、違法薬物犯罪者に対して強硬な対策を取るドゥテルテの手法に青年層の批判の声は小さく、大きな期待を寄せているのが分かる。
歴代の大統領の中で最初の調査の数字を見ると、最も低かったのが2001年1月に就任、現在は在職中の汚職事件で収監中のアロヨの51%で、やはり、在任中の汚職で有罪、後に特赦で放免されたエストラダ(1998年9月就任)が69%、コラソン・アキノの後継者、ラモス(1992年9月就任)が70%となっている。
ドゥテルテの高信任率は地域別にみると、ドゥテルテが市長を独占していたダヴァオ市のあるミンダナオが93%を得て最も高く、首都圏85%、首都圏以外のルソンで81%、セブなどを含むヴィサヤでは79%と、この地域ではやや低めの評価が出ている。
次に年齢別だが、18歳から24歳の90%に続いて、25歳から34歳も89%の高信任率を得ている。しかし、高年齢になるに従って信任率は下降し、35歳から44歳及び45歳から54歳は共に82%であった。
55歳以上では79%と信任率は落ちていて、これはマルコス独裁政権時代を知っている世代と知らない世代の、ドゥテルテの強権手法に対する経験認識の違いからくるものと見られている。
また、学歴別では学歴の高いほどドゥテルテへの信任率は高く、大学卒で89%、大学中退85%、高校中退82%、小学校中退80%となっている。
最後に社会階層別では高学歴層と関係の深い、中間層以上が83%となり、フィリピンの多くを占める貧困層と最貧困層の信任率はどちらも84%であった。
この結果から、新しい大統領になってフィリピンを取り巻く気分は一新されたような空虚な状況であり、新しいもの好きのフィリピン人がいつまでこの高信任率を維持できるかは新大統領の口ではなく実行力の問題に帰する。
【写真は2013年の右アキノ前大統領、左ドゥテルテ現大統領】
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