 国家警察が全国の警官、75848人に対して抜き打ちで行った違法薬物検査で、116人から陽性反応が出て、これら警官は職務を解かれ刑事訴追の対象となっている。
しかしながら、この数字に疑義を抱いたドゥテルテ大統領はフィリピンの休日にもなっている8月29日の『英雄の日』に演説を行い、『違法薬物に関与する警官を内部告発した場合、その対象1人につき200万ペソを与える』と、報奨金によって汚職警官を警察内部から放逐する決意を表明した。
同演説で大統領は『国内には違法薬物依存の国民が少なくても370万人以上存在する』とし、成人者の10人に1人は薬物依存者といわれていた数字をこの場で確認し、一連の違法薬物撲滅キャンペーンに一層の理解を求めた。
大統領就任後に警官による違法薬物関与容疑者への射殺事件が激増し、国内や国際人権機関から強い批判を浴びている大統領だが、強硬姿勢は変わらないことを改めて表明。
違法薬物取引に関して、取り締まる警官側がシンジケートとの関与が指摘され、就任直後には警察の現及び元の最高幹部など実名を挙げて告発するなどしたが、それら告発された人物はそのまま居座った状態で、告発そのものの証拠固めも弱く、結果的に泳がせているとの批判も強い。
そういった中で『200万ペソ報奨金』発言は出たが、これは中級警察官の年収の10年分以上に当たり、仲間意識の強い警察組織でこの金額で内部告発効果が出るかは未知数。
これに対して、大統領の腰巾着とも揶揄される国家警察長官は大統領方針に全面的に賛成し、国民に対しても情報の提供を求めた。
大統領の違法薬物撲滅の熱意は高い支持率にも表れているが、主に中国から違法薬物が流入し、それらに関与するシンジケートの大物は摘発されず、違法薬物の流通が減ったということもなく、捕まったり射殺されるのは小物ばかりという結果もあり、どこまでこの世界の闇に大統領が切りこめるか就任既に2ヶ月経って注視されている。
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