 前アロヨ政権では軍や警察で定年退官した高級官僚を、政府内の重要ポストに任命することが多く、特に駐在大使への任命が甚だしかった。
これに対して外務省内では『素人外交官に何ができるか』と不評タラタラだったが、じつは省内から大使出世への道が政治任用で閉ざされてしまうところにあった。
アキノ政権になって前政権下の政治任用一掃を目指し、これら大使に大統領就任直後に辞表を提出、帰国するように命じていた。
ところがそれに抵抗する大使もあってなかなか一掃は進まなかったが、このほどようやく17人の大使を更迭、外務省のキャリア新任大使が大統領府より発表された。
この派遣国を見ると、ほとんどが大国で、アロヨ政権下任用の素人大使が束の間の豪奢な海外生活を貪っていた様子が分かる。
17ヶ国はアジアではマレイシア、以下ヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、ギリシア、ハンガリー、オランダ、スイス、ポーランド、ノルウェイ、大洋州でオーストラリア、ニュージーランド、北米のカナダ、メキシコ、キューバ、それにイスラエルとなる。
ただし、アキノ政権の大使任用はアロヨの政治手法を踏襲していて、駐日大使は選挙で世話になった最大手電力会社の経営者、アメリカ大使に中央銀行元頭取を任用している。
フィリピンは人材がいないのではなく、情実人事で全てが動くとの視点が正鵠を得ている国となる。(写真はフィリピン外務省庁舎)
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