ネッタイシマカが媒体するデング熱は年間の感染者が世界では3億9000万人以上で、フィリピンでは世界保健機構(WHO)の最新統計によると、2017年1月から9月初めまでの感染者数は7万6千人、内死者413人となっている。

これは昨年同時期の感染者数14万人弱と比較して45%以上の減少となり、その要因は世界で初めてデング熱ワクチンを公的に取り入れたためと政府側は強調している。
このワクチンはフランスの世界的な製薬会社『サノフィ』が開発したものだが、WHOは2016年7月にワクチンを接種されるとリスクの増大や、感染した場合に症状が重症化する恐れがあると警告していた。
それにもかかわらず、フィリピン政府は2016年4月以来、デング熱ワクチン接種キャンペーンを展開し、これまでに74万人近くの子どもにワクチン接種を続けてきた。
デング熱ワクチンはまだ完成していないという医学界の指摘もある中、サノフィ社は11月29日に、WHOが指摘したワクチンの欠陥を認める臨床データを公表した。
この発表を受けて12月1日フィリピン厚生省は、同ワクチン接種のキャンペーンを中止し、4日には全面的な使用差し止めを決定した。
この措置を受けて同ワクチンはフィリピン国内からの販売、流通、取り引き禁止が命じられたが、厚生省もサノフィ社もワクチンによって死亡者は発生していないと強調し、責任回避を計っている。
この点に関して、病院関係者などからは死亡例はあると指摘され、解明が求められている。
同ワクチンが世界で最初にフィリピンで公的に採用されたことから同社が『不完全なワクチンを人体実験に使ったのではないか』との声も上がっている。
また、前アキノ政権時代に短期間で接種キャンペーンが承認された経緯についても疑義があるとして、司法省は捜査に乗り出すと声明し、関係者の贈収賄などの疑獄事件に発展する可能性も出てきた。
【写真は問題のサノフィ社のデング熱ワクチン】
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