フィリピン統計局は2017年度の国内総生産(GDP)は6.7%と発表。
この数字は前年度(2016年)と比較して、0.2ポイント落ち込んでいて、好調が伝えられるフィリピン経済に対して、フィリピンの実体経済が芳しくない実情を露わにした。
この数字に対して政府当局は中国やヴェトナムを凌ぐ成長率を記録していると、強気の見方を示しているが不安要素も同時に表明している。
また、今回の成長率に対してインフラ整備などによる政府支出が前年比4.5%から2017年度は14.3%と3倍以上も伸び、政府によるGDPの底上げ政策の危うさも浮き彫りにしている。
部門別ではサービス輸出で主力を占め、雇用や消費の牽引となっていたコールセンター業務を中心とする『ビジネス・アウトソーシング=BPO』の成長が急激に減速し、この部門では前年の19.9%から12.6%に落ち込んだ。
今やフィリピンの主力産業となったBPO部門は、英語を使える近隣国の同業種の伸長が著しく、フィリピンの業界も安閑としていられない状況となっている。
このため、政府は投下資本の薄いBPOのような労働集約型の形態から、付加価値の高い産業に移行する必要があると見ているが、具体的な方策は示されていない。
また、今回のGDPの落ち込みに対して、大統領選(2016年)の翌年は成長率が下がると例年を引き合いに出しているが、当選したドゥテルテ大統領が打ち出した大型インフラ政策は就任1年目では全く効果が出ていないことを証明したようなもので失笑を買っている。
このようなGDP成長率の足踏みとは逆にフィリピン証券取引所の株価指数は1月23日、899.02ポイントとなり史上最高の値を付け、株価バブルは進んでいる。
|