|
94歳の元上院議員の名前は『エンリレ』【写真】。同元議員は1986年2月に起きた当時の国防相だが、参謀次長であった『ラモス』後に(アキノの後継大統領)と独裁者マルコスに反旗を翻し、『エドサ政変』のきっかけを作った人物。
しかしマルコス政権時には財務省長官、司法省長官なども務め、マルコス独裁を助けた人物で変節漢と知られる。
アキノ政権後も要職を占め、地元ルソン島北部カガヤンで下院議員の後、上院議員になり、落選はあったものの上院議長などを歴任した。
2016年、高齢のために上院議員から引退したが、権力欲は衰えず突如立候補を表明するものの、当選は難しいと見られている。
同じように独裁者マルコスの妻『イメルダ』が3期目の下院銀を目指して届け出ているが、イメルダは89歳と、フィリピンの上下院議員を通じて現職としては最高齢。
イメルダの選挙区はマルコス王国といわれるルソン島北部北イロコスで、知事、下院議員など公職を一族で独占し、当選は間違いない。
なお、長女の『アイミ―』は知事職3期12年のため、4期目は立候補できないために上院選に鞍替えするが、事前の予想では当選は固いと見られている。
12人選出の上院選で注目される候補者としては、2013年副大統領選、2016年大統領選に出て何れも次点に泣いた『ロハス』元上院議員が復活を目指し、全国的な人気は高く当選圏と見られている。
『カエタノ』2期12年の上院議員の後、下院議員1期をやって上院に立候補する手を使って立候補するが当選圏。
また、同じように3年休んで再立候補するのが汚職で有罪になった大統領の息子『エストラダ』。この息子も汚職容疑で長く獄に繋がれていたが、選挙民には人気があって当選圏。
現職閣僚級の人物も幾人か立候補していて、これはドゥテルテが政権運営上の与党を増やすためだが、いずれも露出は多いが不人気で当選は難しいと見られている。
この他、上院で現職7人は出馬を表明していて、選挙前から当選者12人の予想はほぼ固まっている。
一方、下院ではドゥテルテの長男がダヴァオ選挙区で立候補するが、同人はダヴァオ副市長を汚職で辞任したが、ドゥテルテ王国では何をしても当選確実。
なお、一時は上院選に出ると見られていたドゥテルテの長女はダヴァオ市長の座を守るために市長選に立候補。
首長選ではセブ市の『オスメニャ』が再選を目指すが、対抗馬の『ラマ』前市長と因縁の対決となっている。
同じくセブ州知事選では前知事のガルシア下院議員が知事の座奪還を狙って兆戦。長らくセブ州知事の座はガルシア家が独占していたが、前2回の知事選で敗退した。
迎え撃つ現職陣営は知事と副知事を交互に替えて立候補する体制となり、こういうおかしなことが平気で通じるのがフィリピンの選挙。
なお、今回の立候補受け付け後に、中央選挙管理委員会は資格を審査し12月までに最終的な候補者が確定する。
そのため、立候補を届けた候補者は最終発表まで上院、下院、首長選のどれかに出馬変更が可能という、いかにも政治屋同士の駆け引きが行えるような制度がまかり通っている。
|