|

違法薬物関与者を皆殺しにすると大統領が公言し、9月19日までに、国家警察によると警官による殺害は判明しただけでも1152人、自警団などと称する暗殺グループによる殺害が2073人と3000人を遥かに超えた。
また、逮捕されたのは1万7759人、殺されることを恐れて自首した違法薬物密売容疑者は5万3091人、違法薬物常習者が66万2302人の計71万5393人に達している。
こういった問答無用の大統領方針に関して国際社会から強い批判が起き、国内でも実態解明が行われている。
特に上院法務委員会委員長を務めるデ・リマは大統領批判の急先鋒で、先日の公聴会では大統領のダヴァオ市長時代の悪行を暴露する証人発言もあり、これに危機感を抱いた大統領陣営はアキノ政権時代に司法長官を務めたデ・リマ上院議員潰しを画策。
同議員の愛人問題や司法長官時代に違法薬物シンジケートから賄賂を受け取っているなど攻勢に出ていた。
愛人問題など愛人の多さで当選した元大統領のエストラダを見るまでもなく、この国では問題にならず、大統領自身が6月の大統領就任式に愛人の子を立ち合わせたくらいで3面記事をにぎわす程度にしか過ぎない。
しかし、賄賂問題に関して物証は何もないのに刑務所に収監中の人物を証人に仕立てて、デ・リマ議員追い落としを計り、司法長官が近日中に訴追することを発表した。
この長官は大統領の大学時代の同級生と言うだけで引き立てられた人物で、国家警察長官がダヴァオの元署長からの抜擢であるように大統領の友達、意を汲む人物連中でこの国が動いている一端を明らかにした。
19日の上院法務委員会で、デ・リマ議員追い落としが計られ、ボクシングしか出来ないパッキャオがお先棒になってデ・リマ委員長解任動議を出し、同じく先の正副大統領選で副大統領候補として組んで惨敗した、これまた無能で定評のあるカエタノが後を押し表決の結果、解任賛成16反対4でデ・リマは委員長職を解任された。
賛成した議員は大統領の強い圧力に屈したと見る向きが強く、大統領にとって目障りな人物は例え24人しか居ない、政治的エリートの上院議員でも容赦しない大統領の強権政治の始まりと指摘されている。
こういった状況の中、大統領は6ヶ月以内で違法薬物を撲滅するという公約を実現困難と言い訳をし更に6ヶ月延長、またこの10月に行われる予定だったバランガイ(最小行政区)選挙も延期すると表明した。
|