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『生まれながらのフィリピン人』かどうかで、次期2016年大統領選に立候補届け出をしたポー上院議員に対して、『その資格はない』とする陣営から失格申し立てを受けている。
11月17日、2013年に行われた上院選でトップ当選した同議員の立候補資格を巡って、『上院選挙法廷=SET』はポー議員は『ポー議員は出生と同時にフィリピン国籍を取得している』として『生まれながらのフィリピン人』と認定し、ポー議員の失格を申し立てをした陣営に対して却下を言い渡した。
SETの構成は上院議員6人と最高裁判事3人の計9名だが、今回の決定ではレガルダ、ソット、アキノ(現大統領の叔父)、ピア・カエタノ(弟も上院議員で次期副大統領選に立候補届け出)、ビリヤールの5人の上院議員がポー議員の資格を認めているが、いずれの上院議員もポー議員陣営寄りと見られ政治的判断との指摘が強い。
一方、反対をした上院議員はビナイのみで、ビナイは次期大統領選に立候補届け出をしたビナイの息子で、対立候補になるポー議員の足を引っ張れれば何でもやる、これまた政治的な動きで批判が強い。
ところが、最高裁判事3人は全員ポー議員に資格なしと一致し、この結果、評決は5対4と際どい結果となった。
ここで注目されるのは法律の専門家はポー議員は法理的には『生まれながらのフィリピン人』とするには無理があると判断している点で、ポー議員はパナイ島の教会前に捨てられていた子どもであり、その出生がとかくの問題を生じさせている。
今回の認定は上院選資格であり、その資格とは①フィリピン人を親とし、出生と同時にフィリピン国籍を取得した。②投票日前日に35歳以上。③読み書きの能力があること。⑤投票日から通算して2年以上のフィリピン居住歴のあること。の5項目になる。
この項目に対して失格を申し立てた陣営は、捨て子のため両親の国籍がフィリピン人と確認できない。を突いてきたがSETでは却下された。
この決定は第一ラウンドで大統領立候補資格を巡って同様の訴えが、裁判所に何件も申し立てられていて、判断はこれからであるが、今回のSETの判断はこれら申し立てに対して大きな影響を与えるのではと見られている。
こういった国籍問題に関してポー議員は自分は生まれながらのフィリピン人としてDNA鑑定を受けることを表明しているが、こういった出自に対しての反対陣営の執拗な異議申し立ては、ミャンマーの民主化を進めるアウンサンスーチーの子息が外国籍のため大統領になれないのと共通していて、事の本質をずらす低レベルものと批判が強い。

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