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フィリピン中央銀行が15日発表したフィリピン人海外出稼ぎ労働者(OFW)を含む在外フィリピン人からの昨年の送金額(銀行経由のみ)は、前年比8.2%増の187億6,300万米ドル(約1兆5,631億円)となり、初めて年間180億米ドルの大台を突破した。昨年の送金額は、2桁成長が続いた前年終盤から増加率が一時鈍化したものの、6月以降は8%以上の堅調な伸びを持続。12月は単月最高額を記録した。
送金者の職種別でみると、船員など海上就労者からの送金増加率は11.9%で、全体の伸びを上回った。陸上就労者の送金は7.2%増加した。
中銀のテタンコ総裁は、昨年の送金額が中銀予測の187億米ドル(前年比8.0%増)をわずかに上回った点に言及。送金額の水準が国内総生産(GDP)の10%近くに達していると説明した。
昨年の送金が堅調に増加した要因としては、フィリピン人労働者の勤務地や職種が多様化している点を指摘。さらに、インターネットや自動送金機を通じた送金体系の確立など、送金サービスの拡充を挙げた。商業銀行が設置する送金窓口は、昨年末時点で4,581カ所となり、前年末から851カ所(22.8%)増加した。
国・地域別の主な送金元は、米国、カナダ、サウジアラビア、英国、日本、アラブ首長国連邦(UAE)、シンガポール、イタリア、ドイツ、ノルウェーなど。
一方、12月単月の送金額は、前年同月比8.1%増の16億9,410万米ドルだった。増加率は前月(10.5%)から1桁台に低下したものの、金額ベースでは単月過去最高を記録した。
■今年は200億ドル突破か
フィリピン海外雇用局(POEA)によると、フィリピン人労働者への需要は依然拡大傾向にある。同局は先月、4万6,238件の求職を承認した。職種はサービス、製造、専門技術職が中心で、中東や台湾、香港などからの求人が目立った。
中銀のギニグンド副総裁は先に、今年の送金成長が8%を維持し、200億米ドルを突破するとの見方を表明している。
■台湾への就労懸念
一方、フィリピン政府が国際詐欺事件の容疑者として検挙した台湾人14人の身柄を中国側に引き渡したことによる、台湾当局との関係悪化を懸念する声が高まっている。
15日付ビジネスワールドなどによると、台湾で働くフィリピン人からは問題の長期化を懸念する声が上がっており、一時帰国や契約満了後の再雇用を拒否されることへの不安も募っているもようだ。
台湾当局は今月8日から、フィリピン人労働者に対する就労査証(ビザ)発給の審査期間を従来の最長12日から同4カ月に延長。フィリピン労働者台湾派遣局(PILMAT)よると、ビザ審査期間の延長に伴い、今月に台湾への就労を予定していた約4,500人のフィリピン人が足止めを余儀なくされているという。
原文はこちら。
http://news.nna.jp.edgesuite.net/free/news/20110216php002A.html
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