電力大口顧客が供給会社を自由に選べるオープンアクセス制度の早期始動に向け、エネルギー省が着々と準備を進めている。「電力公社と独立発電事業者(IPP)の供給管理業務の民営化」達成率は現在68%。同制度実施の前提となる7割に届いていないが、政府は電力業界の現状を再調査すれば、民営化の進行率修正もあり得るとの見方を示している。ビジネスワールドが伝えた。
エネルギー省はこのほど、まもなくオープンアクセス制度始動に必要な前提条件が整う可能性があるとの見通しを明らかにした。
同制度の実施条件は、◇国家電力公社(Napocor)がルソン、ビサヤ両地方で操業する発電所◇電力公社とIPPの供給管理業務――に関する7割民営化。既に発電施設の民営化目標は、DMCIホールディングスへのバタンガス州カラカ石炭火力発電所(出力600メガワット=MW)売却で2009年7月に達成した。
一方、IPP供給管理業務の民営化率は基準直前の68%。ただアルメンドラス・エネルギー相は、民営化数値が電力業界の一部実情を反映していない点があると指摘。エネルギー統制委員会(ERC)にあらためて民営化率を算定するよう要求し、「既に条件を満たしているとの結果が出れば、オープンアクセス制度のスタートが早まることも考えられる」との見方を示した。
IPP供給管理業務の民営化は、昨年4月に大手コングロマリットのサンミゲル・コーポレーション(SMC)がバタンガス州イリハン天然ガス発電所(出力1,200MW)の管理権を落札したことで進ちょくした。サンミゲルが、入札を実施した電力部門資産負債管理会社(PSALM)に提示した額は、入札参加企業の中で最高額の8億7,000万米ドル(約724億7,000万円)。
配電大手のマニラ・エレクトリック(メラルコ)は、オープンアクセス制度が始動した場合、国内575社が同制度を利用すると予想。配電会社から小売り電力供給業者(RES)に電力の購入と販売の権利が移ることから、顧客確保に向けた発電事業への参入などを計画している。
■電力組合は「国営化」
政府はこのほど、多額の債務を抱える電力供給業者(電力協同組合)の経営を引き継ぐとの方針を示した。国家電力管理庁(NEA)は「運営の安定化を図るため、これら業者の経営引き継ぎを視野に入れている」と述べ、特に債務(計104億ペソ=約199億円)を期限内に返済していない29組合が優先対象になると示唆した。
ビジネスワールドによると、最大の債務を抱える電力協同組合はミンダナオ地方のラナオデルスール電力協同組合で、負債額は43億ペソ。先ごろ電力管理庁が経営引き継ぎを表明したビコール地方アルバイ州のアルバイ電力協同組合(ALECO)が15億ペソでこれに続いた。
NEAの調査によると、全国109カ所で運営する電力協同組合のうち、債務を抱えている団体は81組合。負債額は昨年9月末時点で計167億7,300万ペソに達したという。
原文:http://news.nna.jp.edgesuite.net/free/news/20110221php002A.html
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