フィリピン国内の全航空会社対象に2009年、国際民間航空機関(ICAO=本部カナダ)から『安全面において深刻な欠陥』があると指摘され、2010年3月からEU(欧州連合)は域内乗り入れ禁止措置を取っていた。【写真はセブ-成田運航便】
このほど、フィリピン側の改善努力が認められ、7月12日、フィリピンの航空会社中、フィリピン航空(PAL)が3年4ヶ月ぶりに禁止措置を解かれることとなった。
一方、国際線にも手を伸ばすライバルのセブ・パシフィック航空は、先頃、ミンダナオ島ダヴァオ空港の着陸失敗事故の影響もあってか、禁止措置は解かれなかった。
この解除措置に対してPAL側は『EU直行便の再開は、9月から10月にかけて行い、当初はロンドン、パリ、ローマ、アムステルダムの4都市となる』と運航見通しを述べている。
PALは経営破綻を招いた1998年までEUには直行便を運航していたが、今回の再会が実施されると15年ぶりのEUへの運航となる。
一方、ドル箱路線であるアメリカ向けの直行便は2007年12月、アメリカ連邦航空局(FAA)からフィリピンの航空行政体制が安全基準を満たしていないと認定され、フィリピンからアメリカへ乗り入れる便に関して依然増便と機体変更が出来ない状態が続いている。
これに対してフィリピン当局は『EUの解除によってFAAの制裁が解除へ向かうだろう』と見解を述べている。
なお、PALは中国系のタバコ会社などを持つルシオ・タンから、独占ビール会社サン・ミゲル社を経営するマルコス時代の政商コファンコに経営権が移っていて、醸造会社だったサン・ミゲル社の資金力を擁した多角経営ぶりが目立つフィリピンの経済界でもある。
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