アジア開発銀行(ADB=マニラ首都圏)とフィリピン・エネルギー省が5億ドルという巨費を投じて、フィリピンの主要交通機関である『トライシクル=サイドカー付バイク』を電動化するプロジェクトを始めている。
この電動トライシクル・プロジェクトに参入した日系企業がLTO(運輸通信省陸運局)からナンバープレートをこのほど取得した。
この日系企業は『ビート・フィリピン』(本社マカティ市)。
同社は日本の大手船舶用電気機器メーカーの『渦潮電機』(愛媛県今治市)が出資して2013年3月に設立された。
同社発表によると、開発した電動トライシクルは自重約450キログラム、最大定員7人(運転手込)、家庭にあるコンセントから充電可能で、1回の充電時間は約2時間、この充電で50キロの走行が可能となっている。
また電気自動車用モーターは負荷に弱く故障が多い欠点を持つので、動力源のモーターを従来使われる直流式ではなく交流式にし、モーターの寿命延長とブレーキの利きを良くするようにしている。
同時に三輪という不安定な走行状態を制御するために、特殊コンピューターによって車両が最適な状態で走行できるような独自技術を開発している。
この他、日本の通信大手企業と提携してモバイルネットワークを使って、電動トライシクルの運行管理、日額課金システムの採用、故障車の位置把握による迅速な修理スタッフの派遣などとシステムを利用した様々なサービースの導入を目指している。
こういった高度な技術導入に伴って、電動トライシクル価格のコスト高も懸念されるが同社は調整可能としている。
2011年に試験的にマニラ首都圏に導入した電動トライシクルが、出水、荷重量などの理由によって半分が故障している状況もあって、大気汚染を防ぐためという名目の電動トライシクル導入プロジェクトは理想倒れ、フィリピンには無理ではないかと指摘もある中、この電動トライシクル・プロジェクトは入札によって2016年までに10万台を導入する予定で、既に同社を含めて外資系企業4社が入札参加を表明している。
【写真は従来の典型的なガソリンエンジン・トライシクル】
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