世界141ヶ国と地域を対象に世界経済フォーラムが調査した『旅行・観光競争力ランキング』2015年版によると、フィリピンは前回2013年の82位から74位へと順位が上がった。
しかしながら、アセアン域内の国と比べると、シンガポール(11位)、マレイシア(25位)、タイ(35位)、インドネシア(50位)と開いていて、アキノ政権が掲げる『観光立国』の道はまだ険しいことが分かった。
過去のこの調査ではフィリピンは調査の始まった2007年86位、2008年81位、2009年86位、2011年94位と80位~90位台に推移し、今年は過去最高の順位を付けたとはいえ伸び悩み傾向は拭えない現状が続いている。
この調査対象は14分野90項目あり、その分野は(1)ビジネス環境、(2)安全性とセキュリティー、(3)健康と衛生、(4)人的資源と労働市場、(5)情報通信網の整備度、(6)観光・旅行産業の優先度、(7)国際的開放度。
(8)価格競争力、(9)環境の持続可能性、(10)航空インフラ、(11)陸上・港湾インフラ、(12)観光サービス関連インフラ、(13)自然資源、(14)文化的資源となっている。
この内、フィリピンが高評価を得たのは価格競争力(24位)、観光・旅行産業の優先度(27位)、国際的開放度(29位)、自然資源(49位)の4分野で、宿泊料や空港使用料の安さ、アキノ政権の誘致策、世界自然遺産の多さなどによって順位を押し上げている。
反対に安全性とセキュリティーは最も低い評価になる128位となり、従来から指摘を受けながら改善の見られないフィリピンの治安面の悪さが浮き彫りになった。
この他、環境の持続可能性(122位)、陸上・港湾インフラ(93位)、観光サービス関連インフラ(82位)などが順位を押し下げ、外国人観光客数を目標通り伸ばせない課題となっている。
『旅行・観光競争力ランキング』2015年版で総合1位を取った国はスペインとなり、9位に中国系観光客の爆発的な入国者の目立つ日本が9位に入った他は、2位から10位はフランス、ドイツ、アメリカなどの欧米諸国が占めた。
【写真はパラワン島の地底川入口】
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