マニラ首都圏マンダル―ヨン市にあるアジア開発銀行(ADB)【写真】が、フィリピンの2015年と2016年のGDP(国内総生産)を、今年3月期に予測した値をそれぞれ据え置いたことを発表した。
ADBによると、2015年度のフィリピンのGDP成長率は6.4%、2016年度6.3%となっていたが、この数字はフィリピン政府が掲げているGDP成長率目標値7~8%を下回っている。
しかしながら、東南アジア域内では主要国が軒並み成長率見通しを引き下げられている状況からは、据え置きの数字は良いとする意見も強く、海外からの送金に頼る内需も堅調であり、域内トップの成長率は保てると見ている。
今回の成長率据え置きだが、今年第1四半期(1月~3月)のGDP伸び率が5.2%となっていて、過去3年では四半期ベースでは最低となっていて、懸念材料も残っている。
これに対して、ADBは先進国向けの輸出の不振やフィリピン政府の公共支出の遅延が原因と見ているが、政府の財政出動や個人消費が旺盛なため、2015年の成長率予測値は域内の国々がマイナスを記録する中、予測値6.4%の達成は確実と判断された。
なお、フィリピンの経済成長率に影響を与える国の中でADBは日本についてはGDP成長率を2015年度は1.1%、2016年度は1.7%に据え置いている。
また、アメリカに関しては2015年度当初の予測値3.2%から2.2%へ大幅な引き下げ、2016年度も3.0%から微減の2.9%に引き下げ、アメリカの景気の減退傾向を予測している。
この他、ADBの最新予測ではライバルとなるインドネシアが5.5%から5.0%に修正。タイも3.6%から3.2%へ。
盤石と言われたシンガポールが3.0%から2.8%へとブレーキがかかっていて、このため、アジア全域での平均予測値は6.3%だったのが6.1%へと予測値が引き下げられている。
こういったアジア地域の景気減退の波が、『右肩上がりの夢よもう一度』の日本の安倍政権の経済政策に影響が出ることが懸念されている。
|