フィリピン・エネルギー省石油産業管理局(DOE-OIMB)が11月に、マニラ首都圏と隣接するケソン、バタンガス、リサール、カヴィテ各州に設置、営業している給油所924ヶ所のガソリン品質を検査したところ、混入禁止の『メタノール』を混入して販売している給油所が46ヶ所で見つかった。【写真は摘発と関係ない、フィリピンの給油所】

この割合はおよそ5%の20軒に1軒は不法、粗悪なガソリンを販売していることになり、フィリピン国内及びセブ地域でも爆発的に増えた給油所でもこの手のガソリンを販売しているのではと見られている。
46ヶ所の不正なガソリンを販売していた給油所の内訳は大手石油会社系列が3ヶ所、独立系給油所18ヶ所、零細個人給油所25ヶ所となっていて、経営の規模に関係なく行われていることが明らかにされた。
またメタノールの混入率は1%~16%もの広い範囲で行われていて、暴利をむさぼっている給油所もあったが、これら給油所名は公表されず、業界寄りのDOE-OIMBの姿勢に批判が集まっている。
なお、DOE-OIMBはガソリンに『バイオエタノール』を最大0.5%まで混入することは認め、現在E10のガソリンとして販売されているが、エンジンを腐食させるメタノールは認めていない。
メタノールはアルコール・ランプに使用され、安価なために酒類に混ぜて増量飲用し、中毒事件が世界中で発生、戦後すぐに日本では『カストリ酒』として流通し、失明者を多数発生する事件もあった。
フィリピンにおいて、メタノールは規制物質でないために、9月にフィリピン石油企業協会はメタノール混入ガソリンが広く国内で行われていると懸念を示していたが、今回のDOE-OIMB検査でその実態が明らかにされた。
こういった摘発にもめげず、給油所商売はフィリピンでは成長産業になっていて、タイの国営石油会社『PTTパブリック社』は既にフィリピン国内に112ヶ所の給油所を経営しているが、今後5年間で更に188ヶ所を増やす計画を発表した。
計画によると投資額は50億ペソ(約110億円)。中でもドゥテルテ大統領の支持基盤であるミンダナオ島で強力に展開するとしている。
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