日本ではデフレ脱却のために、2%のインフレを起こす危うい経済運営路線を取っているが、2月5日、フィリピン国家統計局(NSO)の発表で、1月のインフレ率は前月比より0.1ポイント上昇の4.2%を記録、2013年9月以来連続してインフレ率は上昇している。
この調査結果について、フィリピン中央銀行は『昨年末にあった、台風などの天候不順が生産と流通部門を圧迫、特にコメ、魚類、肉類、野菜、果物などに影響を及ぼし食品価格の上昇を招いたため』と分析している。
またフィリピンの経済官庁である国家経済開発庁(NEDA)は『政府のインフレ率目標は3~5%であり、連続して上昇しているとはいうものの、年平均では4.4%程度に収まる』と見通しを述べて、今回の上昇は一時的なものと見ている。
こういった雲の上の経済分析は庶民には気休めにもならない代物だが、分野別にみると、食料、飲料類が前月比0.7ポイント増の5.5%で最大の数字を記録。
衣類は3.7%、健康、医療品が3.2%だった。
中でも主食のコメは上昇率が高く、首都圏では台風などの因子は関係ないのに前月比2.2ポイント増の15%のインフレ率を記録、首都圏以外でも10%近くの上昇率となっていて、こういったコメの上昇が組織的なコメの密輸グループが横行する土台となっている。
また、こういった政府筋が発表する数字は操作されているとささやかれ、実体経済では野菜などの生鮮食料品が30~40%も値上っている例も大手スーパーなどで見られ、災害に便乗した値上げではないかと指摘されている。
なお、2013年通年のインフレ率は同年3月に3.2%を記録して以来2%台が続いていたが、11月にヴィサヤ地方を襲った台風ヨランダのために、住居や食品分野の物価高騰が響き11月は3.3%に上昇、12月に4.1%に達し、2011年12月に記録した4.2%以来2年ぶりの高水準となった。
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