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セブ首都圏を構成する主要市、マンダウエ市をベースにする『ノルキス』社が、BPO(Business Process Outsourcing)事業用ビル建設に乗り出すことになった。
同社は1962年にオートバイ販売業者としてスタートし、特に過去40年間に渡って日本の『ヤマハ』オートバイの独占販売代理店として長年営業をし、近年は安価な中国製オートバイを扱うことで業績を伸ばし、フィリピン全土に約300の営業所を持つ。
同社グループは金融部門を含めて小さな事業会社29社を傘下に持ちBPO事業は、同社の持つ遊休工場敷地を利用して建てるもので、手始めに3億2千5百万ペソ(約7億5千万円)をかけて6階建てのビル【写真は同ビル敷地】を今年の9月に完成させる予定でいる。
また、同社はその後、同ビルそばに保有する土地2.8ヘクタールにBPOビルを3~5年をかけて次々に建設する計画で、最終的には20階建てのビルを含む6つのビルを建設する総額60億ペソ(約139億円)の大型投資となっている。
このプロジェクトが成功するとおよそ38000人の就業が可能と見られ就職難に悩む、セブ首都圏の高学歴者には朗報となる見込み。
BPOビジネスはコールセンター業務を中心に、フィリピンでは年間20%以上の急成長率を示し、セブ首都圏は業界のランク付けでは世界で8番目に入る事業地として人気が高い。
しかもセブ首都圏のBPO用オフィス供給は不足気味で、今回の同社のビル建設はその需要に添って提供されるが、このBPOビジネスも、最近はコストの安い、ネグロス島やミンダナオ島の都市部で事業を始める会社もあり、またアジア地域でもフィリピンよりコストの安い国が伸長していて、フィリピンのBPOビジネスの将来性に黄色い信号が点っているのも事実である。
こういったことから、同社は将来BPOバブルが弾けた時に対応できるように、時間を空けて段階的にビルを建設して行くのではと見られている。
しかし、同社経営陣には強気の意見もあって、供給動向が将来に渡って見込まれるなら、同社所有の別の土地3ヘクタールに9つのビルを追加する計画もあると述べている。
なお、同社のBPOビルは主に海外からの進出企業に対して設けられた官庁PEZAの認可を受け、税制上の優遇措置を得ているが、同社一族には地元選出の現職下院議員がいるために、自社に有利に動いた政治案件ではないかとの声も上がっている。
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