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フィリピン国内で国税は『Bureau of Internal Revenue=BIR』が担い、ここでは毎年個人所得に対する『納税額』トップ500人を発表している。
これは納税者番号、氏名、納税額などが載っているだけでの一覧表で、どのような職業、地位かはなかなか分かり難い。
それでも著名な人物は名前だけで特定でき2014年度版で、1位は製菓会社『レビスコ』の経営者で約2億8千万ペソ(約7億8千万円)だった。
2位には毎年高額納税者として名を連ねるボクシングの、パッキャオ)【写真】が2億1千万ペソ(約5億8千万円)と続いた。
パッキャオは国際空港の利権を独占する黄色いタクシーなど本業以外に各種事業に手を出していて、その資金力と知名度から現在ミンダナオ島にある選挙区の下院議員2期目で、次期2016年上院選に立候補。
しかし、ほとんど議会の会議に出ず、議会活動のない議員としても有名である。
6位にアキノ大統領の妹で、私生活では何かと騒がせる俳優業のクリス・アキノが5450万ペソ(約1億5千万円)で入って存在を示し、次々回上院選(2019年)に立候補するのではの噂も流れている。
芸能界では他に人気モデルのアン・カーティスが32位の3146万ペソ、137位にバイス・ガンダが137位(1576万ペソ)が入っている。
また政界では外務長官を務める現職閣僚の中で純資産がトップだったデルロサリオが320位(926万ペソ)で入っているが、政界関係は裏金の動くことは普通の世界であり、実態を掴むことは難しく議員の資産形成、生活実態と納税額が釣り合わないのが多い。
一方、経済界関係では、ビール会社から今では大きな複合企業となったサン・ミゲル社を率いるラモン・アンが5105万ペソで9位に入った。
経済誌フォーブスが2015年度世界億万長者番付けでフィリピン一の大富豪とした小売り最大手のSM、商業銀行などを傘下にするヘンリー・シーは5450万ペソで53位の2567万ペソと意外に個人納税額は低い。
また、政商と知られフィリピン航空や最大手のたばこ会社などを経営するルシオ・タンが129位(1621万ペソ)に位置するが、これら中国系経済人は節税技術も巧みといわれているので、納税額と富裕度は別との見方もある。
経済人はボクシングのパッキャオのように巨額なファイト・マネーが素通し、あるいは芸能人のように課税し易い層とはまた別の層を形成している。
フィリピンは密輸天国と共に脱税天国の評判を取り、密輸を取り締まる関税局と共にBIRは徴税能力を高めていて、その中で脱税がはなはだしいといわれる弁護士、医師、会計士の高級専門職を重点的に捕捉調査強化を行っているが、徴税側の能力不足もあって効果を上げていない。
フィリピンでは納税額は双方の話し合いで決まるともいわれ、こういった取引がフィリピンの汚職の温床ともいわれている。
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