海外から多額の資金援助を受けていたVisayan Forum Foundation(VFF)が、アメリカ国際開発局(USAID)から、2億1千万ペソ(約4億円)に達する使途不明金を巡って司法省検察局に公文書偽造容疑で告発された。
VFFは主に人身売買の被害者を保護、支援する目的で1991年設立。これまでに32000人を支援した実績を持ち、国際機関などからその活動に対して表彰もされ、最近では2011年カリタス賞を受賞。
現在、100人以上の専従人スタッフを抱え、全国20地域で11カ所に支所を持つフィリピンのNGOでも大手的存在だった。
USAIDの告発は2010年3月から4月にかけて行った監査で発覚し、VFF内の内部告発もあって2005年から2011年まで援助した3億ペソの内、2億1千万ペソが不正に支出されたと見ている。
そのやり方は領収書の偽造や複製などで、USAIDの告発を受けて国家捜査局(NBI)が8月末にマニラ首都圏ケソン市にあるVFF事務所を強制捜索し、証拠書類多数を押収した。
この結果、NBIは押収証拠から少なくても4100万ペソの領収書が偽造されていたことを解明し、9月6日、VFF代表を含む幹部及び担当職員を文書偽造容疑で司法省検察局に送検、起訴相当かどうか検討中。
これに対してマルコス独裁政権下で反マルコスの闘志として著名な、ネグロス島出身のVFF代表(53歳)は容疑を真っ向から否定、争う構えを見せている。USAIDが監査に入ってから告発まで長い時間がかかっているために、政治的な隠ぺい工作が行われたとの見方もあり、フィリピンで活動する一部のNGOが海外からの援助資金を杜撰に運用していた実態が今回の事件で明るみになった。
なお、VFFはアメリカ国務省、ビル・ゲイツ財団、スターバックス財団などからも資金援助を受けていて、これらアメリカ系財団のいい加減さも俎上に上がっている。
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