台風パブロ(24号)の被害は、12日国家災害対策本部によると、死者740人、行方不明者890人となり、全壊民家5万7千戸、半壊7万6千戸、被災者数は600万人になった。【写真は軍が被災地に送る棺の積み込み作業】
今回の災害発生地では2006年、環境天然資源省が作成した『地質災害予想地図』の、土砂崩れ、鉄砲水などに襲われる可能性が高い危険地域に指定されている地域が集中的に被害を受け、移転警告が活かせなかったことに対して、政府、自治体側に批判が集まっている。
これに対して環境天然資源省は『今回の被害者は金の違法採掘のため居住禁止区域に住み被害が拡大した』と述べ、加えて違法な森林伐採が横行したためと違法状態を放置した自治体関係者を強く非難した。
しかし警告地図を作製し、全国の自治体に7万枚を配布したと称する環境天然資源省にしても、『言うことは立派でも実効性のない政府機関』と同様に批判を浴びている。
現地を視察したアキノ大統領は今回の災害は『人災』と見、災害を引き起こす要因を放置した関係者を調査の上厳罰に処すると言及しているが、災害を引き起こしたと見られる違法採掘、違法伐採などは地元政治家、有力者の息がかかる資金源でもあり、また貧困問題とも密接な関係があり解決は難しい。
こういった内輪の責任のなすり合いを尻目に、国際機関、各国政府からの被災への支援、援助活動は進んでいて、国連は総額6500万ドルが支援に必要と見積もり、うち国連食糧計画(WFP)では2160万ドルの食糧支援を各国に呼びかけている。
なお、日本政府は総額2200万円の緊急物資をフィリピン政府に引き渡し、追加支援も検討中。
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