1606年にメキシコから伝来したキリスト像を由来とする宗教行事『ブラック・ナザレ』【写真】が1月9日(木)、マニラ市で挙行された。
この像に触れることによって奇跡を呼ぶと信じる人々の混乱によって判明しているだけでも2518人が負傷し、内12人は呼吸困難を訴えたために病院へ搬送された。
これは昨年の1426人を大幅に上回ったが、死者は発生しなかった。
この宗教行事はマニラ市にあるキアポ教会に安置されているキリスト像を、マニラ湾近くにあるリサール公園内のグラウンドから教会に向かって1日がかりで行進するが、昨年は約900万人が集まったという。
今年はそれを上回る1200万人と予測されたが、実数約500万人程度だったと見られている。
この行進中に携帯電話を起爆装置とする爆弾が仕掛けられる恐れがあるとして、巡行路に沿って携帯電話を使えないように妨害電波を出した年もあったが、今年はそういった処置は取られなかった。
しかし行進に先立ち枢機卿がミサの最中、グラウンドのステージ上に安置されていたキリスト像に信者が殺到し、ミサが中断される騒ぎがあり、教会関係者によるとミサが中断されたのは長い歴史の中で初めてという。
このため、その後の宗教儀式は中止を余儀なくされ、グラウンドからの行進は予定より大幅に遅れて午前7時45分過ぎから始まった。
また、今回は例年の巡行で渡る橋が信者の重さに耐えられず、危険と判断されて別の橋を渡るルートに変更されたが、納得しない信者が問題の橋のバリケードを突破して警備陣と睨み合う騒ぎもあったが、巡行は予定通りのルートを通り混乱は回避された。
こういった今年の混乱は地震や台風のあった2012年が影響し『信仰=神頼み』への依存が高くなったためではないかと教会関係者は述べている。
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