感染が確認されたのは2月1日にサウジアラビアからフィリピンへ帰国した看護師の女性で、翌日に発熱やせきなどの症状があり、10日にフィリピン熱帯医学研究所(RITM)で検査を受けた所『Middle East respiratory syndrome=MERS』(中東呼吸器症候群)の陽性反応が出たため、直ちにRITMに隔離、収容された【写真はMERSウィルス】。
また、この女性と接触したと見られる夫や親族、診察をした病院関係者など56人がRITMに収容され、検査を受けている。
MARSは2002年~2003年にかけて中国大陸で大流行した『SARS=重症急性呼吸器症候群』のコロナウィルスの新型で、SARSが致死率10%程度なのに対して、MARSは50%と非常に高い。
このため罹患女性が住むルソン地方ラグナ州サンペドロ市では、感染の怖れから過剰な反応が生じ、休校にする学校や会社が出ている。
これに対して、医学関係者からは『空気感染はし難く、人から人への感染は接触など濃厚な場合に生じる』と、啓蒙に努めているがパニックに陥った市民は聞く耳を持たない状態となっている。
また、同罹患者と同じサウジアラビア航空860便に乗ってフィリピンへ入国した224人の乗客につい検査を実施するために防疫当局は追跡し、13日現在100人弱と連絡が取れたのみで、他の乗客に対して名乗り出るように呼びかけている。
MARSはその頭文字に中東が入っているように2012年、サウジアラビアで確認され、中東地域を中心に感染が広まっている。
ウィルスの遺伝子解析から『ヤマコウモリ』が起源ではないかといわれているが、このコウモリは日本にも生息している。また他の研究では『ラクダ』も疑わしいとされている。
ただし、現時点ではウィルスの宿主がこういった獣類ということは分かっているが、それが人間にどのようにして感染するのかは不明である。
中東地域はフィリピンから働きに出るフィリピン人(OFW)が年間数十万に達し、これら帰国者が現地で感染して、フィリピン国内で発症するリスクは高く、フィリピンの防疫体制の貧弱さから今後もこういったことは増えると関係者は危惧している。
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