離婚制度のない国として有名なのは、地中海にあるマルタ共和国とフィリピンの2ヶ国だったが、マルタは2011年6月に、『離婚合法化』の是非を巡って国民投票が行われ52.3%の賛成を得て、翌7月議会で離婚合法化法案が可決された。
このようにフィリピン同様にカトリックが多数派を占める国でも離婚は法制化しているのが現実である。
世界で唯一取り残されたフィリピンはカトリック教会の政治に口出す体質から、離婚合法化の成立は難しく、フィリピンのカトリック指導層は中世的頑迷さで知られ、2013年にアキノ政権が、爆発する人口問題が『貧困』の最大原因として成立させた『人口避妊法=人口抑制法』にしても、内容は学校で性教育を教えるといった他愛ないものなのに、時代遅れの原理主義でフィリピン・カトリック教会は猛反対をしたが、世界のカトリック界では笑いものにされる始末。
昨年12月に、民間調査機関が成人1800人を対象に離婚合法化について賛成か否かを調べた所、賛成が60%となり、過去の同様の調査、2005年が43%、2011年が50%と比べ過半数を初めて大きく超えた。
一方、反対は29%で前回調査の45%から大きく下がり、世論は離婚合法化への風が吹いていることが分かる。
フィリピンは離婚できない国とあるが、唯一裁判によって婚姻を解消できる抜け道があって、これは時間と多額の費用がかかるために富裕層だけが利用できる代物で、フィリピンの大多数を占める下層、貧困層への有効性は薄い。
このため、別居状態で結婚生活を続ける夫婦は多く、この夫と妻がそれぞれ別の家庭を設けて婚外子をそれぞれ作るというのはこの国では珍しくなく、離婚制度がないための悲劇は今も昔も無数にある。
離婚法はカトリックの教義に反するからフィリピンでは成立しないと表向きは見られているが、この法律を審議、成立させる議員連中の多くは、かつての大統領エストラダを見ても分かるように愛人を持ち婚外子を設けているのが実情で、離婚法が成立してしまうと妻からの莫大な慰謝料請求、また愛人からの結婚を迫られたり婚外子への養育費の義務など生じるために、これら政治家は現状の方が得と読んで故意に法案成立を妨げているといった、下世話な話も政界にはある。
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