2014年にフィリピンで殺された邦人数は7人に上り、フィリピンは『世界で一番、邦人が殺される国』と汚名を背負っているが、ほとんどの事件は捜査の不備で解決されず迷宮入りとなっている。
そのような状況の中、2010年5月、首都圏マカティ市【写真】で車を運転中の39歳邦人男性が2人組の犯人によって軽機関銃で射殺された事件で、解決の糸口が見えたと捜査当局が発表した。
この事件を捜査しているのは国家犯罪捜査隊(CIDG)で、3月下旬に別の事件の容疑者としてルソン島南部ソルソゴン州で逮捕された、犯罪組織のフィリピン人元幹部31歳を取り調べ中に、マカティ市の射殺事件に関与していることが分かった。
CIDGの取り調べによると、逮捕された男は首都圏周辺で依頼殺人や拉致・誘拐を続ける犯罪組織『イロンゴ・ワライワライ』に属した元幹部で、今回容疑者は、邦人殺人の後の数週間後に首都圏で台湾系企業のフィリピン人射殺事件に関与した疑いで逮捕されていた。
邦人射殺事件に対してはフィリピン人から依頼を受けて、事件当日依頼者などと計4人でレンタカーに乗って実行しようとしたところ、現場付近で別のオートバイに乗った2人組が現れ邦人を射殺。そのため現場を離れたと供述している。
これに対して捜査を進めるCIDGは、容疑者は邦人射殺の関与を否定しているが各種証言からCIDGはこの男性が実行犯の1人であり、罪を逃れるために虚偽の供述をしていると見、更に背後関係と共に追及を行っている。
しかしながら、フィリピンの犯罪捜査の悪弊である、目撃情報や証言に偏って、物証を中心にして犯人を割り出す能力がないために、容疑者を犯人と断定、起訴できるかどうか、今回の事件も解決は疑問視されている。
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