2014年、フィリピンで殺害された邦人数は7人に上り、『世界一、日本人が殺される国』と汚名を着せられているが、2015年に入って邦人殺害の発生はしばらくなかった。
しかし、5月16日、戦後、戦犯に囚われた旧陸軍大将山下奉文が絞首刑を執行された刑務所がある町として有名なモンテンルパ市で、28歳の男性が自室で何者かに首などを刺され死亡する事件が発生。
事件は店の従業員が出勤してこない被害者を不審に思い、翌17日午後11時頃、38階建ての高級コンドミニアム28階に住む、被害者宅を訪れて血まみれの遺体を発見。
被害者はマニラ市マラテ地区に今年3月に新規開店した飲食店の会計管理をしており、室内にあった店の売上金を入れていた金庫から多額の現金が盗まれていることが判明、地元警察は強盗殺人の疑いで捜査を進めている。
捜査によると、犯行時間帯は16日午後5時30分から6時20分の間と見られ、コンドミニアムに設置されている監視カメラから、同時刻前後に被害者と共に室内に入った男がいて、30分後に被害者宅から出て来た様子が写っていて、この男は被害者の勤める飲食店で設備を補修するフィリピン人契約スタッフと分かった。
捜査当局はこの男を容疑者として、出身地のブラカン州や首都圏の立ち回り先などを重点的に捜査しているが、多額の現金を所持している関係上高跳びの恐れもあり、発見は難しいのではと見られている。
被害者と容疑者の関係だが、事件発生の少し前にこの容疑者が紹介する女性を被害者が室内に入れており、被害者は容疑者から複数の女性を定期的に紹介されている経緯から、気を許して容疑者を自室に招き入れた挙句の事件と見られ、女性絡みの怨恨もあるのではとの見方もある。
今回は容疑者の足跡などが室内に残されてはいるが、自白や目撃証言に頼るフィリピンの捜査当局がどこまで、証拠を集めて容疑者を追いつめられるかは予断を許さない。
なお、昨年の邦人殺害事件は捜査当局の能力の問題もあっていずれも未解決。また、過去に遡ってもフィリピンで解決された事件は少ない。
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