この事件は9月21日、ミンダナオ島ダヴァオ市沖にあるサマル島の高級リゾートで発生し、犯行グループと見られるイスラム系武闘組織が宿泊していたカナダ人2人、ノルウェー人1人、その知人女性のフィリピン人1人の計4人を拉致し連れ去った。
この時、宿泊していたアメリカ人と日本人のカップルは桟橋から海に飛び込んで難を逃れた。
ミンダナオ島で比較的治安の良いとされるダヴァオ市で起きた事件は、その後国軍や警察が行方を追っていたが、10月13日、インターネットの動画サイトに犯人側から強制された人質の『軍や警察の救出活動を止めるように』との内容の動画が流された。
しかし、11月4日になって犯人側は新たな動画を公開し『1人当たり10億ペソ、計40億ペソ(日本円で約112億円)』の要求が出された【掲載写真は動画より】。
今回の動画は前回同様武装した犯行グループが人質を威嚇するように取り囲み、前回公開された動画と較べて人質の憔悴する姿が目立った。
身代金要求は人質の男性から告げられ、『連中は要求が受け入れられない場合は本気で我々の命を取る』など、状況が逼迫している様子が見られた。
この身代金要求に対してフィリピン政府側は『武装集団とは交渉はしない』と、身代金を支払う意思のない事を言明し、救出作戦を続行する方針を確認した。
一方、人質となったカナダ政府とノルウェー政府も表面上は『犯人側と交渉しない』としているが、水面下では何らかの動きはあると見られている。
こういった事件では人質が解放されても、『身代金は払っていない』と言うのが常套句で、実際は巨額の身代金が支払われ、それで得た資金がまた次の拉致事件を生む構図になっていて、今回の40億ペソと言う巨額な身代金について『誘拐業』は儲かる連鎖反応を生む恐れがある。
また、外国人を標的にした拉致事件は、政治目的、金銭目的など地域や国籍を問わずフィリピン国内では頻発しており、外国人はこの種の事件に巻き込まれないよう注意が喚起されている。

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