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フィリピン旅行から日本へ帰った女性が『デング熱』で死亡したが、フィリピン保健省(Department of Health=DOH)は、今年1月から6月までのデング熱の罹患者数は昨年同時期より36%増加の57000人以上と発表した。

デング熱はヤブ蚊の種類であるネッタイシマカやヒトスジシマカがデング・ウィルスを媒介するもので、インフルエンザに似た症状を見せ、時には無症状のこともある。
しかしながら、2回目の感染などによって出血性デング熱へのリスクが高まり死に至り、今回日本で死亡した例はこの出血性デング熱による。
デング熱に対しての治療法は点滴や輸血と言った対症療法しかなく、マラリアのような特効薬というものはなく、そのため、体力のない乳幼児の死亡例が多い。
デング熱による死亡者数だが2015年の同期間中では148人であったのが、今年は248人と前年の1.5倍以上となっている。
地域別に見ると、マニラ首都圏の外縁州のカラバルソン地方(バタンガス、カヴィテ、ラグナ、ケソン、リサール各州)が最も流行していて7463件(前年比13.1%増)。
セブが含まれる中部ヴィサヤ地方が5783件(10.1%増)。ルソン島中部地方5586件(9.8%増)。北部ミンダナオ地方5521件(9.7%増)。ソクサジェン地方(ミンダナオ島南部の南コタバト、コタバト、スルタン・クダラット、サランガニ各州)4583件(8%増)となっている。
また、東ヴィサヤ地域(ボホール島など)では昨年の610件から1870件と3倍にもなる大流行となっている。同様にミンダナオ島ダヴァオ地域では1679件から4002件と大幅に増加。
一方、国内大流行の中、減少した地方もあり、ルソン島北部のカガヤンバレー地域(バタネス、カガヤン、イサベラ、ヌエヴァ・ヴィスカヤ、キリノ各州)では前年2664件から1523件と43%の減少。また、マニラ首都圏も4964件から4179件と16%減少している。
DOHはデング熱対策として流行地で公立小学校児童に対して予防プログラムの一環としてワクチンを投与しているが、認可されていないワクチンと称する物の効果は確認されず、流行に歯止めがかかっていない。
デング熱流行に対して殺虫剤の噴霧など防除措置は取られているが、人体への悪影響が強い。
このため、溜まり水で繁殖する蚊に対して水路の清掃、家庭内で溜まり水を作らないなど積極的に行うことが励行されている。また、ウィルスを媒介する蚊に一度でも刺されると罹患するために蚊に刺されないようにする注意が必要としている。
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