 事件は2014年5月、首都圏パラニャーケ市内でマカティ市【写真は同市中心部】で日系旅行代理店を経営する59歳の邦人男性が、車を運転中に何者かによって銃撃を受け死亡。
捜査を続けていたパラニャーケ地検は、このほど殺人罪で2名のフィリピン人を起訴した。
この事件はダヴァオ在住の日本人夫とフィリピン人妻が、2013年8月頃に被害者と金銭トラブルを起こしていたために、同夫妻の運転手だった男らに殺害実行を依頼。
男らは2014年4月上旬にダヴァオから同夫妻より報酬110万ペソ(約270万円)を受け取って襲撃を実行。
このダヴァオの夫妻というのは別の事件で日本の警視庁によって詐欺で逮捕、起訴されていた。
詐欺容疑は日本の歯科医がミンダナオ島ゼネラルサントス市に住む愛人に産ませた子どもの認知などを巡ってのトラブルで、同夫妻は歯科医から1千万円以上の金を受け取ったものの解決能力など全くなく、歯科医を騙し続け、最後には子どもを含めた11人を皆殺しにする荒唐無稽な計画に至った。
結局、大金を騙し取られたと気付いた歯科医が警視庁に事情を話して詐欺として立件に至った。
この歯科医が相談したのが射殺された旅行代理店経営者で、その線から同夫妻の関与が浮かび上がった。
しかしながら、フィリピン側の捜査能力が弱いために、今回の射殺事件で起訴できたのはダヴァオ夫妻の内の妻と、その運転手のみで残る日本人夫や一味計7人は不起訴処分となった。
今回の犯罪に関与したダヴァオの夫妻は長くダヴァオに住み食料品店を経営し、地元邦人社会では知られていて、社会福祉事業なども行っていたが裏の顔は全く違い、かつて日本の大手商社に勤めていた肩書を悪用して、邦人相手の相談やブローカーをやっていた。
起訴された妻は軍を退役し、射撃の名手と言われていて、そういった背景が単純に殺害事件を起こすに至ったと見られている。
迷宮入りがほとんどと言われる邦人殺害事件で、実行者を起訴に至るまでは少なく、残された遺族及び関係者の執念の賜物となった。
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