違法薬物関与容疑者への警察などによる抹殺は6月のドゥテルテ政権発足後、既に4000人を超えているが、10月17日、マニラ国際空港第3ターミナル【写真)に到着したエミレイツ航空に搭乗の22歳のヴェネズエラ人女性を違法薬物所持の現行犯で逮捕した。

この女性はブラジル・サンパウロからアラブ首長国連邦のドバイを経由してマニラに飛来していて、逮捕のきっかけはアメリカの取り締まり当局からの通報からであった。
通報を受けたフィリピン当局は荷物を検査し、女性は4.35キログラムのコカイン(末端価格約5千万円)と、677グラム余の覚醒剤をシャンプーや毛髪用漂白剤容器に隠していた。
取り調べによるとこのヴェネズエラ人は、これら薬物は自分のものではないと主張しているが、常習的な運び屋であるのは間違いないと見ている。
同空港では今回の摘発前の15日に、第3ターミナルで6.2キログラムのコカインを隠し持っていたブラジル人女性を摘発していて、相次ぐ南米人運び屋による違法薬物持ち込みに対して南米-中東-フィリピンのルートに警戒を強めている。
また、今回この他にも短期間にロシア人1人、香港人2人、ブラジル人1人を違法薬物の運び屋として逮捕していて、フィリピン当局の強硬な取り締まりによって品薄となり、違法薬物の末端価格が高騰したため違法薬物組織側が好市場と判断しているのが、運び屋の急増と繋がっていると見られている。
しかしながら、今回はコカインの最大供給地である南米人の摘発であったが、フィリピンの違法薬物の主流である覚醒剤の多くは中国から運び込まれていて、出口である中国当局側の取り締まり強化を強硬に主張すべきと、経済偏重、ODA欲しさのご機嫌伺いで中国訪問中のドゥテルテ大統領には望まれている。
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