昨年10月6日、ミンダナオ島スールー海で犯罪集団『アブサヤフ』に襲われ、59歳のドイツ人女性が殺されたヨット『Rock All』【写真】の艇長が同組織から拉致され、身代金3千万ペソ(約6500万円)を要求されていた事件で、同組織がインターネット上で公開した映像で、斬首されたことが判明。
フィリピン政府も2月28日、事実関係を確認した。
同組織は2月14日、身代金の支払い期限を2月26日午後3時までと設定したが、フィリピン政府側は『身代金要求には屈しない』と表明し、大規模な捜索活動を行っていたが、悲惨な結果となった。
この結果を受けて、ドイツ外務省は犯罪集団に対して強い抗議を示すと共に、フィリピン政府と協力して事件解明に全力を尽くすと表明。
また、フィリピン国軍高官は斬首される3日前に同事件に関係するアブサヤフ構成員6人を発見し、追跡したものの取り逃がした事実を公表した。
このため、ドゥテルテ大統領は『我々の対応は不味かった』とドイツ政府に謝罪をし、同時に『身代金要求には応じない』と改めて言明した。
また、アブサヤフを始めとしたイスラム系犯罪組織が跋扈するミンダナオ島南部海域の治安強化のために、中国政府に協力を要請したことも明らかにし、日本政府による巡視船供与が10隻あり、既に2隻がフィリピンに到着していて残る8隻が到着すればフィリピン沿岸警備隊の巡視能力は改善されると見通しを述べている。
日本による巡視船供与は安倍政権下で南シナ海の中国の覇権行為に対する封じ込めの一環として行われており、犯罪集団監視向けにミンダナオ島海域に回されるのはどうかと日本側から苦情が出そうだが、ドゥテルテは意に介さず中国、日本を天秤にかけて強化を計っている。
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