2011年7月30日、セブ島東海岸中部にあるナガ市(人口約12万人)【図参照】で4人の未成年女子を自宅に置き、性虐待をしていたオーストラリア人を警察が逮捕。
オーストラリア人は児童虐待、搾取、人身売買法違反などで起訴され裁判が行われていた。
3月2日、セブ地裁は同被告に対して合計60年の刑務所行きとなる有罪判決を下した。
この他、罰金として250万ペソ(約525万円)と被害者への賠償として各自に5万ペソを支払うように命じた。
この事件は全国紙にも掲載されたが、一審判決まで6年以上を要しフィリピンの裁判には時間がかかることを証明した。
この事件の被告は4人の未成年女子を自宅においていたのは『経済援助』であって、判決にあるような意図も行為もなかったと主張している。
しかし、裁判の過程で15歳と17歳の姉妹には被告が避妊薬を使用するなど性的な目的で自宅に置いていたのが判明している。
この未成年姉妹の両親だが、事件が発覚するまで娘が被告宅に住んでいることを知らなかったと述べているが、被告が性的な要求を姉妹に行っていたことは知っていた。
また、被告の援助で姉妹が学校に行っていたことも両親は認めた。このため被告は親の同意があったなど罪状を否定していたが、未成年に対する犯罪に厳しいフィリピンでは順当な判決となった。
この事件は狭い地域で外国人が未成年女子を何人も住まわせていたことは、おかしいと口の端に上がっても良いが、そういった近隣の眼が外国人には甘いことを伺わせた。
同被告の前職は大工で、離婚した妻はフィリピン人で、その間には息子がいるが何れもオーストラリアに住んでいて、被告がなぜ1人でフィリピンに住み始めたかは不明だが、金の力で未成年を支配できると踏んで住んでいたものと見られる。
こういった未成年への性犯罪を目的に入国、あるいは永住する不良外国人が国籍を問わずフィリピンには増加していて、識者は取締りの強化を要望している。
今回の判決は確定ではなく更に次審に持ち込まれ裁判は長引くであろうが、被告の年齢を考えると生きて塀の外へ出るには不可能と法曹関係者は述べている。

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