セブ島最北の町はダアンバンタヤン町で人口は8万5千人以上、セブ市からバスで2時間半以上かかる。

セブ島でも貧困率の高い地域で、産業としてはトウモロコシ栽培、漁業だが何れも零細な規模で、この町は他の自治体に漏れず海外就労者が多く、特に船員職の就業者は多く、町の経済は海外就労者からの送金で成り立っているといっても過言ではない。
5月13日午前7時20分頃、同町の北端にあるマヤ港で、バンタヤン町長一行が襲われ、運転手やメイド、荷物を運んでいた者など6人の負傷は出たものの、襲撃目標と見られる町長やその妻、セブ州議会議員の息子、その身内などは無事であった。
しかし、医療設備の整わない同町病院からセブ市の病院に負傷者は転送された。
襲撃事件のあったマヤ港は、近年人気の出ているマラパスクワ島へ行く港で、町長一行は前日に開かれた同島のフェイスタに参加し、その翌日マヤ港へ帰って来た時に襲撃された。
ダアンバンタヤン町は襲撃された町長の妻が町長をしていたが前回の町長選で落選。
そのため、元国家警察の最高幹部であった夫が2016年の町長選に身代り立候補し、僅か7票差で当選し妻の恨みを晴らした。
ところが違法薬物関与者としてドゥテルテ大統領が2016年7月に警察の最高幹部5人を告発、襲撃された町長はその1人であった。
同町長は警察官僚時代に違法薬物関与の大物から毎月10万ペソを受け取っていたと暴露されていて、そういった疑惑が大統領から告発されるのも異例だが、そのまま自治体首長に居座れるのもフィリピンという国。
このため正体不明の暗殺団が暗躍し、やはり違法薬物関与自治体首長の暗殺が相次いだ。
今回の襲撃事件ではM-16ライフルが使われ、襲撃犯5人は待たせていた車で立ち去ったことから組織的な犯行と見られているが、その他は不明。
今回の事件は5月14日に投開票される最小行政組織のバランガイ議長と議員選挙と関係あるのかどうか不明だが、この選挙を巡っては各地で襲撃事件が発生し、候補者など20人以上が殺害されている。
襲撃されたダアンバンタヤン町長は警官組織を使い銃による脅しで当選したといわれ、来年2019年に行われる選挙で同じ手を使って再選なるか注目を集めている。
【写真は事件のあったダアンバンタヤン町役場】
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