ゴミ処理というのはどの国でも問題になっていて対策に大わらわだが、資力のない国は原野や海に投棄していてフィリピンも例外ではなく、これが環境の汚染を引き起こしている。
 そういった中、中国が再生可能なゴミの受け入れを2018年から禁止したために、これらゴミは行き場を失い規制の緩い東南アジア諸国に送られることとなった。
しかし、正規の手続きを踏みながら、中味は禁止されている産業廃棄物であるのが公然の秘密となっていて、その秘密がミンダナオ島北部にある港に輸入されたコンテナの検査で発覚した。
韓国の業者が再生可能なプラスティックと偽って産業廃棄物を持ち込んだもので、その量は2018年7月と10月にフィリピンに運ばれた計6500トンとなり、その内5100トンはフィリピン側の敷地内に運ばれていた。
この大量の違法ゴミだが、1トン当たり6ドルで韓国からフィリピンに持ち込まれたが、韓国内の『ゴミ・ブローカー』が介在し、輸出元会社とフィリピンの受け入れ会社も韓国系となっていて、違法ゴミが組織的に行われていることが明らかになった。
この事態に対して『フィリピンは韓国のゴミ捨て場ではない』と、政府も世論も怒り心頭となっていて、この事態を重く見た韓国政府は『国費で韓国に違法ゴミを全量戻す』と表明するに至った。
この違法ゴミのフィリピンへの搬入だが、かつて日本も同じような事例があり、この時も国費を使って日本へ送り返したことがあるものの、事件に関与した業者から要した国費を回収したかどうかは不明で、私企業の違法行為に税金を使って救済する必要があるのかとの批判もあった。
今回明らかになった違法ゴミの搬入だが、先述したように公然の秘密で、フィリピン、タイ、インドネシアなどが違法ゴミの受け入れ先と挙げられていて、これは現地の税関に巣食う汚職係官の関与も指摘されていて、一朝一夕でなくなるものではないと言われている。
韓国政府が表明した違法ゴミの撤去問題だが、年が明けてもその動きは具体的になっていなくて、その実効性に疑念が生じていて、環境団体は警戒を強めている。
【写真は違法ゴミのコンテナが運ばれたミンダナオ島オサミス州の港】
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